岸田外相 20日訪露 他

岸田文雄外相は20日からモスクワを訪問し、21日にロシアのラブロフ外相と会談する。メドベージェフ首相や閣僚が相次いで北方領土を訪問するなど日ロ関係が悪化する中、日ロ首脳が合意したプーチン大統領の年内来日に向け、対話を維持する狙いがある。
岸田氏の訪ロは昨年春に調整していたが、ロシアのクリミア編入と日本による対ロ制裁で関係が悪化し、先送りされていた。領土をめぐりロシアが強硬姿勢を続ける中、政府内にはこの時期の訪ロに慎重論もあったが、大統領の年内来日に意欲的な首相官邸の意向が岸田氏の判断に影響した。 
21日の外相会談で岸田氏は、ロシア要人の北方領土訪問に遺憾の意を伝える一方、平和条約締結交渉の再開を呼び掛ける考え。22日には岸田氏とシュワロフ第1副首相が共同議長を務める日ロ貿易経済政府間委員会も開かれ、両国の経済問題を協議する。
エネルギー輸出への依存が強いロシアは最近の原油安で経済事情が厳しく、日本との経済対話には前向き。しかし、北方領土問題に関しては「交渉するつもりはない」(モルグロフ外務次官)といった発言が相次いでおり、プーチン氏来日に向けた環境整備がどこまで進むかは不透明な部分も残る。(2015/09/19-17:56)

岸田文雄外相は18日、原田親仁・駐ロシア大使の後任に上月(こうづき)豊久官房長(58)を起用することを決めた。近く発令する。
安倍晋三首相とプーチン大統領による北方領土問題の交渉を進めるため、省内屈指のロシア通である上月氏を起用することにした。
月氏は昭和56年に外務省に入省し、日米安全保障条約課長、ロシア課長、ロシア公使、米ボストン総領事などを経て欧州局長に就任。平成26年7から官房長を務めている。
モスクワでの大使館勤務が長く、ロシア人脈も多い。「理論派で強気の交渉スタイル」(外務省幹部)とされる。
大使就任後は、日露首脳間で合意している年内のプーチン氏の来日実現に向けて、環境整備に取り組むことになる。
安倍政権は、北方領土の帰属問題を解決し、平和条約を締結することを掲げており、北方領土交渉は最重要任務となる。エネルギーや医療分野などでの経済協力を進め領土交渉を後押しすることが求められる。<<