ロシア 外相会談拒否 / 大統領府長官 日本の抗議を「儀式」と一蹴

政府が米ニューヨークでの開催を打診していた日露外相会談を、ロシアが「日程が合わない」との理由で拒否していたことが分かった。ウクライナ情勢を巡り主要7カ国(G7)との連携を重視する日本をけん制する狙いがあるとみられる。一方、政府は24日、ロシアの大手銀行5社の証券発行禁止などと武器輸出を禁止する追加制裁を持ち回り閣議で了解し、発動した。
関係者によると、政府は国連総会の一般討論演説に合わせてニューヨーク入りしている岸田文雄外相とロシアのラブロフ外相の会談を打診し、複数の日程案を提示した。しかし、ロシア側は「ラブロフ外相の日程が詰まっている」と拒否、日本側は会談を断念した。日本が追加制裁の発動に踏み切ることを見越した措置だったとみられる。
日露関係を巡っては、安倍晋三首相が21日にプーチン大統領と電話で協議し、11月に北京で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)の際に首脳会談を行うことを打診。両国の対話を維持する方針で一致した。
今秋に予定されたプーチン氏の来日延期が確実となる中、政府はAPECの際の首脳会談を目指しており、その前段階として外相会談を行いたい意向だった。26日までの岸田外相の米国滞在中に、非公式な立ち話などを引き続き模索する方針だ。
一方、菅義偉官房長官は24日の記者会見で、3月のウクライナ情勢悪化後、4回目となる対露追加制裁を発表した。金融制裁は初めてで、ロシア国内の預金残高1位のズベルバンクなど5行が対象。日本国内での社債・株式を含む証券発行を禁止するほか、ロシアへの武器や関連技術の輸出も禁止した。ニューヨークで25日午後(日本時間26日未明)にウクライナ情勢を巡るG7外相会合が予定されており、菅氏は追加制裁について「ウクライナを巡る情勢を考慮するとともにG7外相会合の開催などを念頭に検討した」と説明した。【福岡静哉】

ウラジオストク共同】北方領土択捉島を訪れたロシアのイワノフ大統領府長官は25日、自らの北方領土訪問に対する日本政府の抗議は「宗教儀式の踊り」のようなもので形骸化していると指摘し、北方領土を「再び訪れる」と述べた。次に訪問した極東ウラジオストクでの発言をタス通信などが伝えた。
抗議に取り合わない姿勢を表明した形。日本外交筋は「記者への応答の一部だが、外交ルートによる正式な抗議をやゆした発言だ」と不快感を示した。
これまでに北方領土を4回訪問しているとしたイワノフ氏は、社会経済の発展状況を視察するのが訪問の目的で、政治性はないとあらためて強調した。<<