露大統領府長官 択捉島訪問 / 政府 対露追加制裁発表

ウラジオストク共同】北方領土択捉島を訪れたロシアのセルゲイ・イワノフ大統領府長官は24日、島の中心地、紗那(ロシア名クリーリスク)で地元住民らと対話、高等教育のために島を離れる若者の帰還を促す「何らかの方策を講じる必要がある」と述べ、人々の定住と人口増加に取り組む意向を示した。タス通信などが伝えた。
また2016〜25年に北方領土を含む千島列島の社会基盤を整備するロシア政府の「クリール諸島社会経済発展計画」に、民間投資も含め計640億ルーブル(約1800億円)を投じると発言。島の経済的発展に意欲を表明した。

菅義偉(よしひで)官房長官は24日午前の記者会見で、ロシアのセルゲイ・イワノフ大統領府長官による北方領土訪問について「北方四島に関する日本の立場と相いれず、日本国民の感情を逆なでするもので、極めて遺憾だ」と述べ、ロシア側に抗議する考えを示した。
菅氏は今回の訪問について、事前情報をもとに、9月18日に外務省を通じて駐日ロシア大使に訪問中止要請した経緯などを明らかにした上で、「当然、今回もしかるべき抗議をしたい」と強調。日露間の対話継続については「影響はないと思う。両首脳間で対話継続を確認している」と語った。

【モスクワ時事】北方領土択捉島に、親ロシア派が支配するウクライナ東部の戦火を逃れ、親戚のロシア人住民の元に身を寄せるウクライナ人難民が少なくとも11人滞在していることが24日、分かった。
 択捉島を訪問したロシアのイワノフ大統領府長官に地元関係者が報告した。国後島色丹島を合わせると、難民の数はさらに増える可能性がある。極東には移民を受け入れた歴史からウクライナ系ロシア人が多い。(2014/09/24-18:08)

【モスクワ時事】ロシアのメディアによると、イワノフ大統領府長官は24日、訪問先の北方領土択捉島で、ショイグ国防相も近く択捉島を訪問すると明らかにした。国後、択捉両島にはロシア軍が駐留している。
プーチン氏の側近として知られるイワノフ長官は、択捉島に完成した新空港の視察のため、24日朝に到着した。
新空港は「クリール(千島)諸島社会・経済発展計画」(2007〜15年)の一環で整備されたもので、長官は「空港にはロシア名を冠するべきだ」と提案した。検討中の次期計画(16〜25年)の予算規模は現行の2倍以上の640億ルーブル(約1800億円)に上るとも語った。
また、現地でロシア軍将兵と面会した中で、新空港が旧空港に比べて中心都市・紗那から至近距離にある優位点を挙げて「軍事利用」を呼び掛けた。(2014/09/24-21:57)

政府は24日の持ち回り閣議で、ウクライナ情勢に関してロシアに対する追加制裁を了解した。対ロ武器輸出制限の厳格化と、同国の5銀行による日本国内での証券発行禁止の2点。菅義偉官房長官が同日午後の記者会見で発表した。ロシア政府関係者らの資産凍結拡大など、より厳しい制裁も検討していたが、今回は見送った。
菅長官は会見で「先進7カ国(G7)外相会談の開催などを念頭に、G7の連携を重視していく中で検討したものだ」と述べ、ウクライナ問題を主要テーマに25日にニューヨークで開かれるG7外相会談に合わせた措置だと説明。一方で「ロシアがウクライナ危機の平和的解決のため積極的、明確な行動を行う場合、わが国は今般の措置を修正・解除する用意がある」とも語った。
防衛省幹部によると、日本からロシアへの武器輸出はないとされ、規制強化は形式的な性格が強い。今回は資産凍結拡大だけでなく、要人の日本入国査証(ビザ)発給停止やエネルギー分野の制裁発動も見送られた。政府関係者は「ロシアの経済・社会に直ちに大きな影響を与えることにはならない」と述べ、日ロ関係の決定的な悪化を避けるため配慮をしたことを示唆した。(2014/09/24-20:14)

【モスクワ時事】ロシア外務省は24日、声明を出し、ウクライナ情勢をめぐり日本政府が発表した対ロシア追加制裁を批判し、日本は「対米追従」だと決め付けた。
声明は「日本の追加制裁に幻滅した」と表明。ロシアも参加して5日と19日にまとめられたウクライナ東部の停戦合意の流れにそぐわないと主張した。
その上で「この非友好的措置は、日本が独自外交を展開できない無能さを改めて証明した」と非難。一方的制裁は国際関係の緊張を生むだけだと述べた。(2014/09/24-18:55)<<