森本首相 プーチン大統領と会談 / 露駐日大使 大統領訪日延期を明言 / ロシア 極東で大規模演習実施へ

モスクワ真野森作】ロシアを訪問中の森喜朗元首相は10日深夜(日本時間11日未明)、クレムリン(露大統領府)でプーチン大統領と会談し、安倍晋三首相の親書を手渡した。森氏によると、プーチン氏は「日本との対話はこれからもぜひ続けていくし、続けなければいけない」と述べ、ウクライナ危機を巡って悪化した日露関係の改善に前向きな姿勢を示した。
今年2月のウクライナ危機以降、日本の要人がプーチン氏と会談したのは初めて。安倍首相の親書は首脳会談を含めた日露の対話の継続を訴える内容とみられ、プーチン氏はその場で読んで「(安倍氏に)よろしく伝えてほしい」と話したという。森氏が「両首脳の対話は絶やしてはいけない」と述べると、「同じ考えだ」と答えたという。
午後11時15分ごろから約35分間の会談で、プーチン氏の今秋の訪日や、北方領土問題については話題に上らなかった。日本の対露制裁についてプーチン氏は言及しなかったという。
また、東京五輪(2020年)の組織委員会会長を務める森氏が、2月のソチ冬季五輪の運営を主導したプーチン氏に「ノウハウを教えてほしい」と話すなど、五輪も話題になった。森氏は9、10の両日、モスクワで開かれた「日本・ロシアフォーラム」(毎日新聞社、ロシア新聞社主催)へ参加するため、訪露していた。

【モスクワ時事】森喜朗元首相とロシアのプーチン大統領の会談は、当初想定より開始が3時間以上遅れ、10日の大統領日程の最後に組まれた。プーチン氏は笑顔で再会を喜んだが、あえて日本側を待たせることで対ロシア制裁に無言の不満を表明したのではといぶかる見方もある。
会談は安倍晋三首相の親書を用意するなど水面下で調整され、前日に最終的に指定された日時は10日夜。ところがプーチン氏はその10日夜、統一地方選期日前投票、閣僚との会議など内政を優先し、30分程度にすぎない会談ながら「だんだん時間が遅れた」(森氏)という。
結局、会談時間は午後11時15〜50分。森氏がホテルで待つ記者団に姿を見せたのは11日午前1時を回っていた。77歳の森氏は疲れをためつつも、嫌な顔はせず「プーチン大統領は絶えず笑顔だった。久しぶりでうれしかったのではないか」と、2月のソチ五輪以来となる再会を振り返った。
「引き続き対話をしっかりとやりたい」。森氏がこうした内容の首相親書をプーチン大統領に手渡し、ウクライナ危機の中でも対話継続の必要性を日ロで確認できたのは一定の成果だ。ただ、暗礁に乗り上げる今年秋のプーチン大統領の訪日問題には踏み込めず、北方領土も触れずじまいだった。(2014/09/11-10:11)

【モスクワ渡辺玲男】ロシア政府は11日、今年秋に予定していたプーチン大統領の訪日を延期する方針を固めた。アファナシエフ駐日大使が、同日の政府機関紙ロシア新聞のインタビューで、ウクライナ情勢をめぐる日本の対ロ制裁により「(訪日の)明確な予定を立てていたが、日程はずれこんだ」と明言した。政府高官が公式に訪日延期に言及するのは、両国を通じて初めて。北方領土問題の解決に向け、プーチン氏の早期の来日実現を目指す安倍政権は、戦略見直しを迫られる。
ウクライナ情勢をめぐっては欧米とロシアの対立が長期化しており、日本が欧米に歩調を合わせる中で、プーチン氏の訪日は来年の春以降に先送りとなる可能性がある。
安倍晋三首相とプーチン氏は、2月にロシア・ソチで行った首脳会談で、今年秋のプーチン氏訪日で合意。両国は11月を軸に調整を進めていた。<どうしん電子版に全文掲載>

【モスクワ時事】ロシアのプーチン大統領はモスクワ時間11日午前10時(日本時間午後3時)から、戦時を想定の下、極東などで大規模軍事演習を行うよう抜き打ちで命じた。臨戦態勢を点検する。ショイグ国防相が発表した。
中ロ国境や北東アジアを管轄する東部軍管区(司令部ハバロフスク)の全部隊約10万人が対象。9月中旬の実施が事前予告され、日本が強く警戒していた大規模軍事演習「ボストーク2014」とみられる。期間は18日まで。
今回は戦時を想定し、幹線道路・鉄道の通行制限や、民間船舶の接収などの訓練も行う。最高司令官のプーチン大統領はショイグ国防相に対し、産業貿易省、通信情報省、運輸省や極東などの地方・州との連携を確認するよう指示した。
北方領土の国後、択捉両島に駐留するロシア軍部隊も、8月中旬に続いて軍事演習に入るもようで、ロシアによるウクライナ南部クリミア半島編入や東部危機をめぐる制裁の応酬で悪化する日ロ関係に影を落とすのは必至だ。(2014/09/11-22:20)<<