森元首相 北方領土"三島返還"での決着に言及 / 露 92年に2島返還を打診 / 鳩山由紀夫 来週訪中

自民党森元首相は9日のBSフジ番組で、北方領土についてロシアのプーチン大統領が「引き分け」による解決に言及していることに関し、「外務省は4島一括返還と言うが、簡単に返すとは思えない。現実的なことをやる方がいい」と述べた。
「引き分け」の意味については、択捉島国後島の間に線を引く案を示し、「単純に線を引けということになれば、こう引くのが一番いい」と語り、択捉島以外の3島の先行返還に言及、4島一括返還にこだわらず、柔軟に対応すべきだとの考えを示唆した。
森氏は安倍首相の要請を受けて2月に訪露し、プーチン大統領と会談する予定だ。森氏は「会談で、大統領に『引き分け』の意味を聞きたい」とも強調した。
(2013年1月10日01時06分 読売新聞)

2009年春、自民麻生政権時に3.5島(面積等分)返還論が外務省から出たときは、従来の「4島一括返還」論をバックに野党とメディアから猛批判を浴びて頓挫しましたが、今度は「帰属確認後の3島"先行"返還」という形になっています。どう変わるんでしょうか。
なお当時批判の急先鋒であった民主党は数ヶ月後の2009年衆院選でそれまで党政策集に記載されていた「4島一括返還」の方針をマニフェストから削除、その後は自民と同様に「4島の帰属が確認されれば、返還時期は柔軟に対応」の立場です。

菅義偉官房長官は10日の記者会見で、事実上の安倍晋三首相特使としてロシア訪問予定の森喜朗元首相が、北方領土問題に関し「3島返還」で決着を図ることも選択肢との認識を示したことに関し「4島の帰属が確認されれば、実際の返還の時期は柔軟に対応していくのが政府の従来方針だ」と強調した。
同時に「森氏は『決めるのは首相だから』と言っており、政府が最終的に交渉することは踏まえているのではないか」とも述べた。

1992年にロシアが北方領土問題の打開策として、平和条約締結前でも歯舞群島色丹島を引き渡し、国後島択捉島の扱いをめぐる協議を続けるとの提案を日本政府に極秘裏に伝えていたことが分かった。外務省時代に北方領土交渉に関わった東郷和彦欧亜局長が10日までに、共同通信の取材に明らかにした。
四島返還を確約していないため、日本政府はロシア提案を拒否したという。ただ平和条約締結後に歯舞、色丹を引き渡すとした1956年の日ソ共同宣言に照らせば、提案は「日本側に大きく歩み寄った内容」(東郷氏)とも受け取れる。東郷氏の証言が今後の交渉に影響を与える可能性もありそうだ。

政界を引退した鳩山由紀夫元首相は10日、都内で記者団に、15〜18日の日程で中国を訪問することを明らかにした。中国側の招待に応じたもので、共産党や政府要人と会談する方向で調整している。 
昨年9月の野田政権による沖縄県尖閣諸島の国有化以降、日中の緊張状態が続く中、中国側としては、首相在任中に「東アジア共同体」構想を唱えた鳩山氏を取り込み、日本の世論を分断する狙いがあるとみられる。
これに関し、民主党海江田万里代表は10日の記者会見で「尖閣諸島についての(日本政府の)主張を理解した上での発言をお願いしたい」と指摘した。(2013/01/10-17:31)

中国政府の明確な意図が感じられますね。そして誰も鳩山由紀夫を止められないという現実。

鳩山由紀夫元首相が15〜18日の日程で中国を訪問することが10日、分かった。中国政府の要人らと会談する方向で調整している。中国が沖縄県尖閣諸島周辺で挑発を繰り返すなど関係が悪化する中での訪中には与野党からいぶかる声が上がっている。
しかし、鳩山氏は10日、国会内で講演し、「私(が首相)のときは、日中、日韓の間で領土問題は起きなかった。私が辞めた直後から起き始めたことは大変残念だ」と述べた。
鳩山氏は首相時代、米軍普天間飛行場沖縄県宜野湾市)移設問題で迷走し、日米同盟関係に傷をつけた。その結果、中国側が領土問題で挑発的行為に出るようになったが、鳩山氏は「外務省や防衛省が米国の意向を勝手に解釈し、(普天間飛行場は)同県辺野古しかないという方向で頭が固まっていた。結果としてあのような結論を導いてしまった」と語った。<<