鳩山由紀夫の訪中 三原じゅん子に批判される

鳩山由紀夫元首相が15日から4日間、中国を訪問する。中国政府の招聘(しょうへい)を受けたもので、鳩山氏は日中関係の改善に意欲を見せているという。ただ、安倍晋三首相によるベトナム、タイ、インドネシアの東南アジア3カ国の歴訪(16日から4日間)と重なるうえ、首相時代の外交失態が記憶に新しく、与野党に批判と困惑が広がっている。
「とんでもないことだ。鳩山氏は一体何を考えているのか!」
こう異議を唱えるのは自民党三原じゅん子参院議員。鳩山氏の訪中には断固反対の立場で、こう続けた。
「外交は極めてデリケート。安倍政権は発足以来、政府首脳や官僚らがさまざまな情報を集めて、丁寧に外交を進めている。安倍首相の3カ国を歴訪も、海洋における『法の支配』をめぐって協議し、軍事的に台頭する中国をけん制する狙いもある。思い付きで動く鳩山氏はそういう戦略を理解せず、結果的に日本外交を壊しかねない」
実際、鳩山氏には「前科」がある。
昨年4月、鳩山氏は日本政府の反対を押し切って、核開発問題を抱えるイランを個人の資格で訪問し、アハマディネジャド大統領などと会談。イラン国営放送は「鳩山元首相は『イランなど一部の国に対する国際原子力機関IAEA)のダブルスタンダードは、公正からかけ離れた態度だ』と述べた」と報じた。鳩山氏は帰国後、イラン側の報道は捏造だと全面否定したが、「イランが核開発能力を持つことを絶対認めない」というオバマ米政権と日本の関係を危うくした。
だが、鳩山氏に反省は見られない。
イランから帰国後、地元・北海道で開かれた会合で「元首相として世界平和に貢献したいとの思いで、批判も覚悟して行動した」と説明。今月10日、国会内で行った講演でも、「私の時は日中、日韓の間で領土問題は起きなかった。私が辞めた直後から起き始めたことは大変残念だ」と平然と述べている。
中国が領土問題で野心をあらわにした要因として、鳩山氏が首相時代、米軍普天間飛行場移設問題で迷走し、日米関係を悪化させたことが指摘されるが、そうした認識は皆無らしい。
政権時代のツケを引きずる民主党海江田万里代表は10日の定例会見で、鳩山氏の訪中を突然知らされ、「尖閣については私どもなりの主張があるので、それを理解して発言してほしい」と困惑を隠さず、「私の方から電話をかけてみようかと思う」と語った。
議員バッジを外した元首相が、日本外交を邪魔することがあってはならない。三原氏が叫ぶ。
「鳩山さん、もうじっとしていて。あなたはすでに“終わった人”なんだから、これ以上、日本を壊さないで!」(安積明子)<<