アシッドたんぱ大放送で「ムネオハウスは鈴木宗男への愛がない」と言われる

90年代ナードコアシーンの最重要人物の一人で現在はTBSラジオでレギュラー番組まで持っている高野政所氏がホームグラウンドであるACID PANDA CAFEから放送しているUstream番組「アシッドたんぱ大放送」。ディスク百合おん氏をゲストに迎えた11/25配信の第12回のトークパートでナードコア話の流れからムネオハウスへの言及がなされてました。

(好きなモノをよりヤバく格好良くするのがナードコアという流れから)
百合おん: ナードコアがちょっとやっぱりブームが終わった後に、ムネオハウスっていうの流行った。
一同: ハイハイハイハイ。
政所: あの鈴木宗男っていう代議士がいて、
百合おん: で、僕はあまり好きじゃなくてそれが。
浮き輪: それこそニコ動の黎明期ぐらいの感じがしてたんだっけね。
百合おん: やっぱもちろんそれムネオハウスってうのは、鈴木宗男はちょっと斬新な発想ではあるかもなのかもしれないんですけど、あんまりフレーズとしては面白くないんですよ。やっぱ鈴木宗男の発言が。
政所: 言ってることとかね。
百合おん: はい。であんまり僕は興味が無かったんですよね。
政所: ようはムネオハウスっていう建物があったから、ハウスミュージックと合わせよう、みたいなだけだったんだもんね。
百合おん: で、それをみんないっせいにガーッって同じようなネタでやって。
浮き輪: いろんな人があのネタでやってた?
政所: そうそう。結局あれやってた奴等って別に昔からナードコア作ってた奴じゃないんだよね。
一同: はい。
政所: 何人かは参加してたかもしれないけど、でもそれって思想がやっぱ全然違くて、彼奴等は自分がテクノとか作ってるけど普段陽の目を見ないから「ムネオのハウスの流れに乗って出しちゃおう」みたいな感じで、宗男に対する愛がない。
百合おん: あー愛が無いってのはそうですね。
政所: 俺とかやっぱり百合おんは全然・・・
百合おん: もう大好きケオリ! (会場笑)
政所: ケオリ大好きだし、俺も吉幾三さん超好きだし
百合おん: 本当にリスペクトみたいな
政所: やっぱそこが大事だと思うんですよ。ナードコアと呼ばれるか呼ばれないか。
百合おん: あのーそのときにおれがすげー痺れたのが、そのときメルマガかなレオパルドンさんがやってて、「○○オハウス作りました」みたいな感じで、配信してたんすよ。
政所: やってたけ俺そんなの?
百合おん: そうなんですよ。「○○オハウス始めました」ってなってて、俺ちょっとショックウケて。「うわ、ムネオハウスをついにレオパルドンが作った終わった」と思って聞いてみたら、あの水野晴郎のハウスで、
一同: ハハハハハ。
百合おん: ハルオハウスっていうので
政所: やってたけ俺?
百合おん: いや、それを配信してて。もしかしたらあの他の重虎さんかも。そのときにさすがだなぁと。
政所: まぁあとだから、俺がハウスをやるんだったら、新日本ハウスですよ。吉幾三さんの。
百合おん: 吉幾三の。
政所: そこなんだよやっぱナードコアって。
浮き輪: 住み慣れた我が家に
政所: 住み慣れた我が家に
政所: あれだよね、だからやっぱり「そいつのハウスを出せ」みたいな。
百合おん: ちょっとやっぱりそこは
政所: ムネオハウス借りてんじゃねーよお前っていう。
浮き輪: おれ・・お前のハウスを出せっていう。
政所: そうそう。マイハウスだよ本当に。カモナマイハウスだよ。
(会場爆笑)
政所: まぁだからむしろ「うち来る?」 みたいな感じ。
一同: なるほどね。
政所: っていう事だと思うんですよ。
百合おん: それでやっぱり「いやぁ〜裏切らないなぁ」って思って感動しました。
政所: 有難うございます。
百合おん: やっぱちょっと変化球というか、今ちょっとストレートに流行ってるカルチャーに対して、ちょっとやっぱ投げかけるっていうのも、一個スタイルとしてあるなぁと。

(以下現代はカウンター=ひねたセンスが成立しにくいという話へ)
ACID PANDA CAFE: アシッドたんぱ大放送 #12 ゲスト:ディスク百合おん 25:40-28:00頃

記事のため該当部分だけ文字起こしを行いましたが、「ナードコアの対象への"愛"とはどういうものなのか」は前段の流れを聞かないと分からないので是非音源でご確認下さい。というか神回すぎて冒頭から飛ばしどころ無し。「高校生のときにsuzuki-ryuって曲出しといたこの話の振り方ですか、DJスギノヤさん(ディスク百合おん氏の昔の名義)」ってツッコミが野暮なレベルです。特に「No Disco City」の作者がIKZOマッシュアップを語る下りは爽快すぎて感動モノ。

ただ、これは高野さん達にとっての「"自分たちがやってきたナードコア"のスタイルとムネオハウスの違い」の話でして、あの世代の総意というわけでは言えないんであります。ここ数年は政所さんやBUBBLE-Bさんのナードコア関連発言が多くそれがソーシャルウェブの勢いで拡散して見かける事が多いのですが、特に放送中に「流行りのアニソン持ってきてドコドコつけた」と言われてたようなSHARPNEL八卦商会辺りからのJ-Coreの流れはまた脈々とあって、そっち側からの史観もあるでしょう。また犬死になんかの後期ナードコアシーンを回していた人達もまた別の見方をお持ちのことと思います。

とはいえ「愛がない」と斬って捨てられるのは政所さんのような当時のシーンを引っ張ってた人だけなので非常に痛快でありました。

あともう一つ触れておきたい大事なところがこちら。ナードコアの音源にどうやって触れるかという話題の中の発言です。

百合おん: 本当これは気をつけないといけないのが、ニコニコ動画ナードコアって検索してもろくなの出てこないんで
政所: ナードコアじゃねぇからあれは、っていう
百合おん: それを聞いちゃうと、ちょっと違う方向に行ってしまう。
ACID PANDA CAFE: アシッドたんぱ大放送 #12 ゲスト:ディスク百合おん 37:08-37:20頃

ムネオハウスナードコアタグがついてるくらいなので、これは超マジです。本物のナードコアはお金を出さないと手に入りませんよ。
買おう!ナードコア

補足1

冒頭から話題に出て来るディスク百合おん氏の曲DJ KAORIネタの曲はこれ。ディスク百合おん「ディィジェェケオリィィズガァァバァァ」

10:30頃から「最近のネタを小手先で手癖で作ってチョイチョイと」「YouTubeで何百万ヒット」と言われているのはこの曲以外考えられません。BUBBLE-B feat. Enjo-G「Enjo-Gのぽぽぽぽ〜ん」

2001年の「ぞっこんバーベキュー」以来作られた両氏の楽曲が詰まったアルバム「レジャーヤクザは君に語りかける」は今年4月に発売されました。千歳飴のような味わいのアルバムです。

11:00頃からの吉幾三氏の話で出てくるレオパルドン「No Disco City」(97〜98年頃)とIKZOマッシュアップブームの元凶・全農連P「ポリ幾三」(08年)。


そんな全農連Pがニコニコ動画のシーンを評した2012年のTweet

20:30頃からのサンプリングの話で政所さんが「『ぶっ潰してやる!』って言葉しか残らない」と言っているのはこちら。レオパルドン「ゼロ装置」

24分頃から賞賛されているコロッケのモノマネ(五木ロボット含む)。

28:30頃からの「石野卓球さんを憎むようになり、つい数ヶ月前にそれが治った」というのはSHOP33繋がりで石野卓球氏との共演の話。

いい話すぎ。

「流行りのアニソン持ってきてドコドコさせた曲」は沢山あるので割愛します。

ちょっと昔ですが当時の世代の人の証言。ナードコア的なものを支えた90年代の状況と併せて述懐されていています。政所氏や百合おん氏が「ヤバい」と評していた事に対応するのが、ysano氏がこの文章で言う「肥大化した内輪受け」と言って良いでしょう。

(2012-12-03追加) 高野政所さんが昔に更新していたページの復刻版。ビリー・チョウの馬殴り、蹴撃手(キックボクサー)マモルなんかに喰い付くセンスに共感できたら楽しいと思います。あとここに載ってるバギーパンツの件は2003〜4年ごろに政所さんがロフトプラスワンで開催していた「ダサ外人」イベントの源流だったと記憶しております。DJ急行さんが同時期に同じ箱でやってたバカ映像イベントとはまた別の流れ。

(2013-04-06追加) 2002年にレオパルドンがリリースしたアルバム「ホームラン番長」に新日本ハウスネタが収録されています。タイトルもそのまま『新日本HOUSE』。

補足2

2010年の記事にも載せてありますが参考として。2ch音MADスレッドにあったニコニコ動画の世代とその前の世代の意識の違いについて、端的にまとめた書き込み。


316 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 投稿日:2010/01/11(月) 17:14:04 ID:QnuXAICf0

90年代ナードコアは"他人とネタが被ってる"時点でもうダメ。能なし、パクリ扱いだった。
だから他人と同じネタを使う事はほとんど無かったし、誰もやってない新しいネタを見つけるのが当然だった。


90年代末〜00年代初期、東芝クレーマー事件以降のWebのネタリミックス文化では、ネタは被ってても"他人の曲使ってる"時点で能なし、パクリ・劣化コピー扱いだった。
だから自作曲が当然だった。既存曲にネタ乗っけるだけのトラックは大して評価されなかった。


00年代初期〜中期のFla板動画文化ではネタかぶりで曲も借り物でも"映像演出まで被ってる"時点で能なし、パクリ・劣化コピー扱いだった。
オリジナリティのあるストーリーや演出が評価されて、他人を真似た奴は「○○劣化」と呼ばれて揶揄された。


で音MADだ。ネタかぶりOK、他人の曲使うのOKというか当たり前、更に他人の演出の使い回しOKで2007年頃から今までずっとやってきている。
新しい風を吹き込む奴は評価されるのは当然だけど、少なくとも全部借り物みたいな作品でもとりあえず貶められたりはしないよね。


良いか悪いかは別にして、とりあえずネタもの創作の現場における価値観はそういう風に推移してきていると感じるね。


以上、年寄りの戯れ言でした。

[YouTube@2ch] 【音MAD】音系MAD総合スレッド27【音声MAD】 (dat落)
2012年末時点でも、ニコニコ動画で見られる状況はこの書き込みの通りだと感じます。