国後島沖漂流の大学生 引渡し

ロシア国境警備局は25日、北方領土国後島沖で21日に無許可渡航の疑いで拘束した琉球大医学部医学科6年生栗山圭輔さん(37)=兵庫県出身=を北海道の根室沖で日本側に引き渡した。
根室港に到着した栗山さんは「悪天候で沖に流された。自らの力で戻って来られず、皆さんにご迷惑をお掛けして申し訳なかった」としっかりとした口調で話した。健康状態には問題ないという。栗山さんは、16日からシーカヤック知床半島を回ろうとしていたと説明。
25日午後4時半ごろ、国境警備局の船と根室海上保安部の巡視船が根室沖で落ち合い、引き渡された。巡視船は午後6時ごろ、根室港に戻った。

ロシア外務省は25日、北方領土国後島沖でロシア国境警備隊に拘束された琉球大生栗山圭輔さんの日本側への引き渡しを受けて声明を発表、日本政府がこの問題を「根拠のない領土要求に絡めて政治的に利用しようとした」と批判した。
声明は、ロシア側は漂流していた栗山さんを救助しただけだと強調。日本側が、北方領土での邦人拘束は領土問題に関する日本政府の法的立場と相いれないとして、栗山さんの早期釈放を求めたことについて「困惑せざるを得ない」と強い不快感を表明した。
その上で「南クリール諸島(北方領土)に関するロシアの主権には疑いの余地がない」と強調した。(共同)<<