ロシア 北方領土の鉱物開発を加速へ 他

北方領土を事実上管轄するロシア極東サハリン州のホロシャビン知事は15日、イワノフ副首相ら政府代表団と訪れた北方領土択捉島で、クリル諸島北方領土と千島列島)の2015年までの社会経済発展計画について160億ルーブル(約460億円)が追加支出されると明らかにした。
インタファクス通信によると、130億ルーブルは連邦予算から、30億ルーブルは地域予算から支出される。「クリル諸島社会経済発展計画」(07〜15年)での連邦政府からの予算投入は150億ルーブル(約430億円)とされており、投資額はほぼ倍増する見通しとなる。
また、イタル・タス通信によると、今回の代表団に加わったトルトネフ天然資源環境相は、北方領土で金などの鉱物資源の開発を進める計画策定をサハリン州の関係機関に指示した。
ロシア側は北方領土の開発加速を打ち出すことで、実効支配をいっそう強化する狙いと見られる。(モスクワ=副島英樹)

ロシアのイワノフ副首相による北方領土訪問に対し、松本剛明外相は16日朝、ベールイ駐日ロシア大使を外務省に呼び、「日本の原則的立場と相いれず、日本国民の感情を傷つけるもので、遺憾だ」と抗議した。外務省によると、ベールイ大使は、北方領土は自国の領土だと説明したという。昨年11月のメドベージェフ大統領の北方領土訪問以降、ロシア政府要人による訪問が続き、外務省は抗議を繰り返している。
外務省は、26、27日にフランスで開かれる主要国首脳会議(G8)で、菅直人首相がメドベージェフ大統領に訪問を繰り返さないよう直接求めることを検討している。

昨日は電話、今日は呼び出し。

枝野幸男官房長官は16日午前の記者会見で、ロシアのイワノフ副首相ら5閣僚が北方領土の択捉、国後両島を訪問したことについて「日本の原則的立場と相いれない。わが国国民の感情を傷つけるもので、大変遺憾だ」と述べた。
ロシア高官の訪問が相次いでいることには「ロシアにとって外交的にも意味のないことだ」と強調。対抗手段の用意があるかどうかには「あらかじめこういう手を打つと言ったら外交的駆け引きにならない」と述べるにとどめた。

【モスクワ時事】ロシア外務省は16日、声明を出し、イワノフ副首相らロシア政府代表団の北方領土訪問に日本政府が抗議したことについて、「これら諸島に対するロシアの主権には国際法上の根拠があり、訪問に遺憾の意を表明するのは不適切」と反論した。
声明はまた、北方領土のロシア帰属を疑問視する企てを続ければ、日ロ関係の建設的雰囲気を促進しないと警告した。
イワノフ副首相も同日、「誰かを怒らせたり、何かを証明するために訪問したのではない」と述べた上で、インフラ整備計画は「住民がロシアの他の地域から切り離されていると感じないようにするために重要な施策だ」と強調した。<<