北方領土「ビザなし交流」第1陣終了

■同日ニアミス 訪問団は困惑
ビザなし交流の訪問団が国後島を訪問していた15日、ロシアのイワノフ副首相も択捉、国後両島を訪れた。予期せぬニアミスに根室港に戻った団員らからは困惑や憤りなど様々な声が上がった。
訪問団副団長の根室市議、神忠志さん(68)は「大統領や閣僚がたびたび四島に姿を見せるのはやりきれず複雑だ。『我々の訪問中にどうして』という思いだ」と困惑する。
国後島出身の大塚小彌太さん(82)=札幌市=は「あー、また来たのかという感じ。日本を牽制(けんせい)しているのだろうが、どうせ来たのならば訪問団と会って話をする機会が欲しかった」と語った。
■道も遺憾の意
イワノフ副首相らの北方領土訪問について、道庁の北方領土対策本部の担当者は「遺憾である、という一貫した立場に変わりはない」と懸念を示した。ビザなし交流が重なったことには「偶然なのか意図的なものなのかわからないが、交流に悪影響を及ぼすようなトラブルがなく、ひとまずほっとしている」と話した。

16日に根室港に戻った北方領土ビザなし交流の第1陣に対し、ロシア側は14日の入域手続きに先立ち、東京電力福島第1原発事故を受けて訪問団員らの放射線量の計測を要求した。日本側はロシア側の手続きに従えば領土の管轄権を認めることにつながることを懸念し、持参した線量計で計測した数値を「自主申告」したが、ロシア側も計測した。
14日に訪問団の船が国後島古釜布沖に到着後、南クリール地区行政府消費者局の職員らが線量計測を要求した。日本側は拒否し、安全面に問題がないことに理解を求めたが、ロシア側は「国(連邦)から言われている。やらないと次の(入域)手続きに入れない」とした。
結局、日本側は「自主的に計測するが、あなた方(ロシア側)が測ることは関知しません」などと伝達。訪問団46人や船内を計測するロシア側の後ろで日本側も計測し、その都度数値を伝えた。(同行記者団)<<