辻元清美 集団的自衛権の憲法解釈変更に「民主党政権になったら元に戻す」 / 日ウクライナ首脳会談

自民党小野寺五典元防衛相と民主党辻元清美政調会長代理が6日のテレビ東京番組で、憲法解釈変更による集団的自衛権の行使を含む新たな安全保障関連法案をめぐりバトルを繰り広げた。
辻元氏は行使を可能とする解釈変更について「(再び民主党政権になったら)元に戻した方がいい。元に戻すことをしなくて済むように廃案にしたい」と強調した。
小野寺氏は安保法案について「全ての国民の命を守るためだ」と反論。衆院憲法審査会で法案を「違憲」と断じた参考人憲法学者を念頭に「先生方は優秀かもしれないが、私たちは日本人を守る責任を負っている」と語った。
辻元氏は、日本人を乗せた外国艦船防護に関しても「リアリティーがない。戦争中に民間人を外国の軍の船が乗せることはない。テロリストが乗ってきたら困る」と批判。その上で「集団的自衛権を認めていなかったから日本はこれまで戦争に巻き込まれなかった」と訴えた。
これを受け、小野寺氏は「あまりに現実を無視した話だ。日米両国は日本人を含めた輸送業務を決めている。いざというときは米艦を含めて安全を確保する」と主張。さらに「『こういうことは起きない。あり得ない』といわれたら、安全保障の議論をどうしたらいいのか。もし起きたときに対応できるように考えるのが基本だ」と強調した。

キエフ=桑原雄尚】安倍晋三首相は6日午前(日本時間同日午後)、ウクライナの首都キエフの大統領府でポロシェンコ大統領と会談した。両首脳はウクライナ情勢をめぐり、ロシアを念頭に、国際法の原理に反する国境の変更は認めないとの認識で一致した。
安倍首相は会談後の共同記者発表で、ウクライナ情勢について「先進7カ国(G7)の連帯を重視し、問題の平和的、外交的解決に向け一層積極的に貢献する」と強調。ポロシェンコ氏は「日本の全面的協力を高く評価する」と語った。
会談では、安倍首相が「日本は力による現状変更を認めず、法の支配、主権・領土の一体性を重視している」との立場を説明。ウクライナ東部での政府軍と親ロシア派の戦闘に対しては「今年2月の停戦合意の違反がみられることは遺憾だ。ロシア、ウクライナを含む全ての当事者が停戦合意を誠実に履行すべきだ」と指摘した。
安倍首相は今回の会談を踏まえ、7、8両日にドイツ・エルマウ城で開かれる主要国首脳会議(サミット、G7)で、ウクライナ情勢について報告する考えを強調した。すでに表明済みの総額約18.4億ドルの経済支援について、着実に実施する方針も示した。
ポロシェンコ氏は「日本とウクライナには共通の隣国がある。日本にとっては北方領土問題が生じている」と述べ、対露政策での連携を呼びかけた。

【モスクワ時事】ロシアのプーチン政権は、安倍晋三首相のウクライナ訪問について、表向きは静観している。先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)はロシアに厳しい方針を示す見通しだが、日ロ双方が「2国間関係への影響を最小化する」という基本的立場で一致しているためだ。
プーチン大統領は5月9日のモスクワでの対ドイツ戦勝70年記念行事に安倍首相を招待。しかし、直前に訪米した安倍首相は出席を見送り、ロシアを落胆させた。日ロ両国が合意している大統領の年内訪日も、ウクライナ危機や制裁が続き、難しい状況は変わらない。
こうした中、ウクライナのポロシェンコ大統領は5日の記者会見で「日本にはロシア(ソ連)に侵略された北方領土問題がある」と指摘した。ロシアによる南部クリミア半島編入との類似性を強調し、日ロの接近をけん制した発言だ。
これまで、ロシアは「米国の圧力を受け日本は制裁に仕方なく加わった」とみなし、安倍政権との対話を継続する姿勢は維持している。しかし、安倍首相のウクライナ訪問をきっかけに、日本がロシアへの批判を強めたと判断すれば、微妙に態度が変化していくこともあり得る。(2015/06/06-17:39)

【モスクワ=黒川信雄】ロシア政府は8月、北方領土択捉島で、若年層の愛国心育成を主眼にした大がかりなイベントを催す。同様の行事は、ロシアが昨年3月に併合したウクライナ南部クリミア半島でも行われる。愛国主義をあおるプロパガンダ(政治宣伝)を通じ、不法な領土占拠を正当だと意識付ける狙いがあるとみられる。
イベントは、昨年まで露西部セリゲル湖畔で親政権の青少年育成行事として開催されてきた大規模なサマー・キャンプを継承する形で、択捉島クリミア半島、またロシア国内の複数箇所で実施される。
択捉島では8月12日から24日まで、学生や教師、愛国団体関係者など200人が参加し、政権寄りの学者による講演会や討論などが行われる見通し。
前身のキャンプはプーチン政権支持の官製青少年団体「ナーシ」(「われら」の意)が2005年に開始。数千人の若者を集め、ロシアの伝統的な価値観の学習のほか、反政権派の集会を阻止する訓練も実施していた。最近ではプーチン氏自ら参加し、「対話」を通じて政権の意向を若者に伝える場となっていた。プーチン氏が今年、いずれかの会場で参加するかは不明。
ウクライナ問題を背景に国際的な孤立を深め、経済状況も悪化するなか、プーチン政権は若年層への愛国教育を強化している。
2月には「国を誇りに思う」国民や、軍の入隊者を増やすことなどを目的とした「市民愛国教育計画」の策定を発表した。“愛国”的な精神を育成し、若者を政権に引き寄せる狙いがあるとみられる。
在ロシア日本大使館択捉島でのイベントについて、「事実関係について情報を収集しており、適切に対応する」としている。<<