プーチン大統領 対ドイツ戦勝70周年記念式典で「日本の軍国主義」に言及

【モスクワ共同=松島芳彦】ロシアのプーチン大統領は9日、対ドイツ戦勝70周年記念の式典で「日本の軍国主義」に言及した。背景には、歴史認識で日本批判を強める中国との連携を深め、安全保障面で米国との同盟関係を深化させる日本をけん制する意図がある。
日ロ首脳はプーチン氏の年内訪日を準備することで合意しているが、焦点の北方領土交渉にも影響が及ぶ可能性がある。
ロシアはこれまで9日の式典を「大祖国戦争」と呼ばれる対ドイツ戦の勝利を記念する行事と位置付け、旧満州などを舞台とした日ソ戦とは明確に区別してきた。
しかし、今年はプーチン氏が8日の習近平国家主席との会談後の会見で「日本の軍国主義」に言及、9日の式典でも繰り返した。
プーチン氏は9月に中国が開催する抗日戦勝70周年記念式典への出席を表明している。その前に日本による「歴史の 歪曲 (わいきょく) 」を批判し、歴史認識を「戦勝国外交」の中軸に据える中国に同調する姿勢を、これまで以上に鮮明に示した。安倍晋三首相がこの夏に戦後70年談話を発表することも念頭にありそうだ。
ロシアはウクライナ情勢をめぐり欧米と対立を深め、この日の式典でもプーチン氏が米国による「一極支配」を批判した。対ドイツ戦では同盟関係にあった米国を、自国に制裁を科した「脅威」とみる立場を反映している。今後の対日関係への波及も不可避とみられる。
共同通信)<<