安部首相 G7前にウクライナ訪問へ

安倍晋三首相は6月上旬にウクライナを訪問し、ポロシェンコ大統領と首脳会談を行う方向で調整に入った。政府関係者が9日、明らかにした。国会日程などの都合がつけば6月7、8の両日、ドイツ南部エルマウで開催される先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)への出席を前にキエフに入ることを検討している。実現すれば、1991年のソ連崩壊を受けて独立したウクライナへの日本の首相の訪問は初めて。
ロシアが関与を強めるウクライナ情勢はサミットでも主要議題となる見通しで、首相はポロシェンコ大統領との首脳会談で経済支援や人道支援を継続する方針を伝えるとともに、平和的解決に向けてロシア側との対話にも積極的に対応するよう促したい考えだ。
一方、安倍首相は、9日のロシアの対独戦勝70周年記念式典への出席を見送り、原田親(ちか)仁(ひと)駐露大使を代理で出席させた。政府は「日程調整がつかなかった」(菅(すが)義(よし)偉(ひで)官房長官)としているが、ウクライナ情勢をめぐってロシアと対立する米国はじめG7首脳がこぞって式典への欠席を決めたことで、日本も足並みを揃えた形だ。
外務省幹部は「日露関係へのマイナスの影響はない」としており、政府はロシア側と合意しているプーチン大統領の「年内来日」の実現に向け調整を続けていく考えだ。
しかし、政府関係者は「ウクライナ問題の長期化は不可避であることに加え、二国間の問題だけをとってもプーチン政権に日本との領土交渉や関係改善に真摯に取り組む空気はない」と指摘。さきの日米首脳会談で首相がオバマ大統領と同盟関係の深化を宣言したことも「ロシア側が態度を一層硬化させる口実にしてくる」(外務省幹部)とみられる。<<