政府 安部首相のロシア対独戦勝70周年記念式典欠席を発表

菅義偉(すが・よしひで)官房長官は28日の記者会見で、5月9日にモスクワで開かれる対独戦勝70周年記念式典について、安倍晋三首相の出席を見送ると発表した。ウクライナ情勢をめぐりロシアと鋭く対立する米国との関係を最優先したとみられる。式典には原田親仁(ちかひと)駐露大使が首相の代わりに出席する。
菅氏は首相の欠席理由について「日程調整がつかなかった。国会対応を含め、過密なスケジュールだ」と説明した。
対独戦勝70周年記念式典に関しては、ロシア政府から昨年夏以降に安倍首相宛ての招待状が届いており、政府関係者は「早い段階から首相の式典欠席は固まっていた」としている。にもかかわらず、28日の首相とオバマ大統領による日米首脳会談の直前のタイミングで発表した背景には、対露政策でも強固な日米同盟を“演出”する狙いもあったようだ。
首相は当初、北方領土問題を抱えるロシアとの関係も看過できないとの判断から、自身の式典出席の可能性を排除していなかった。
ただ、ロシアのプーチン政権が武力を背景に関与を強めるウクライナ情勢を受け、米国はじめ先進7カ国(G7)の首脳が出席を見送る方針を固めており、対露結束で足並みを崩せない事情から欠席するのが妥当との判断に傾いていた。
一方で、政府は、原田大使を式典に代理出席させることでロシアへのギリギリの配慮も示した。北方領土問題の進展をはかるため、日露関係への否定的な影響を最小限に抑える手も打ったといえる。
菅氏は28日の記者会見で「プーチン大統領の訪日に向け(日露両国が)努力することになっている」と述べ、ウクライナ情勢を見極めながら、引き続きプーチン氏の年内来日を模索する考えも示した。
10年前のロシアの対独戦勝60周年記念式典には、小泉純一郎首相やブッシュ米大統領胡錦濤中国国家主席独ソ戦の当事国であるシュレーダー独首相(いずれも当時)らが出席した。(高木桂一)