日露外相会談 ニューヨークでの開催を調整 / 政府 対露追加制裁実施へ

政府は17日、岸田文雄外相が今月下旬に国連総会が行われる米ニューヨークで、ロシアのラブロフ外相と会談を行うためロシア政府と調整に入った。政府関係者が明らかにした。実現すれば今年3月のロシアによるクリミア併合後、日露の閣僚レベルでの会談は初めて。日本側はウクライナ情勢の緊迫化を受けて途絶えているロシア側とのハイレベルの政府間対話を軌道に乗せ、日程が定まらない今秋のプーチン大統領来日の実現につなげる戦略を描いている。
岸田氏は21日から約1週間の日程でニューヨークを訪問する。政府関係者によると、ラブロフ氏も国連総会出席のため、ほぼ同時期にニューヨークを訪れる予定だ。
日露外交筋によれば、森喜朗元首相が今月10日にモスクワでプーチン氏と会談した際、今月の国連総会や11月に北京で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の際に日露外相会談を行うべきだとの認識で一致していた。
クリミア併合後、ウクライナへの関与を強めるロシアに対し、日本政府は米国と欧州連合(EU)と歩調を合わせる形で制裁を発動してきた。ただ、ロシアとの間で北方領土返還交渉を進めたい日本は、欧米より緩い制裁にとどめ、ロシアに配慮をみせていた。
岸田氏は4月下旬に訪露する予定だったが、ウクライナ情勢の緊迫化により訪露自体が延期となった。その後、領土交渉の停滞を余儀なくされ、今秋に計画されているプーチン氏の来日も流動的になりつつある。
日本側は、ニューヨークでの日露外相会談で、ロシア側にウクライナ情勢の緊張緩和に向けた行動を促し、早期の岸田氏訪露と次官級協議再開を経て、プーチン氏来日を実現させる突破口としたい考えだ。

政府は18日、ウクライナ情勢の不安定化を受け、ロシアへの追加制裁を実施する方針を固めた。政府関係者が明らかにした。近く発表する。国連総会開会中の米ニューヨークで25日に行われるG7(先進7カ国)外相会合を控え、すでに追加制裁を発動した米国、欧州連合(EU)と足並みをそろえる。ただ、北方領土問題をめぐる日露交渉への影響を最小限に抑えるため、効果が限定的な措置にとどめる。
政府は、ウクライナ東部の不安定化に直接関与していると判断したロシア当局者ら40人、2団体の日本国内の資産凍結などを盛り込んだ追加制裁を8月5日に閣議了解し、発動した。
今回検討している措置も資産凍結が主で、前回よりも対象者を拡大する方針。しかし、日本と関わりのない対象者が多く、実質的な効果は薄い。このほか、金融やエネルギー分野の制裁も視野に入れている。
世耕弘成官房副長官は18日の記者会見で「ウクライナ情勢や米、EUの動向を踏まえて適切に対応する」と述べた。政府は国連総会での日露外相会談を調整しているが、追加制裁の発表でロシア側の反発が予想される。<<