2002年3月20日公開「季節の外でPro」ムネオハウス特集第2回(ゲスト: umai bow) インタビュー全文

11年前のこのインタビュー音源の文字起こしになります。

前書き
  • 編集点、楽曲の挿入箇所に"--"で目印が入っています。
  • 可読性を高めるため、句読点の付加、重複表現の省略、体言止めの修正等の変更が加えてあります。
  • 脚注は2013年3月時点の情報に基いています。
  • インタビューを受けた方のプライバシーに配慮し、音源の直接公開は当ページでは行いません。

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モーリー (以下、モーリー):

モナさんに続いてumai bowさんに現状を語ってい頂こうと思います。umaibowさんはこの先やるかもしれないムネオハウスのイベントの指揮側に立たれてるんですね。ハイ、じゃ宜しくお願いします。

umai bow:

宜しくお願いします。

モーリー:

えっと今は昨日のインタビューから丸一日が経過しているんですけど、その後ムネオハウスを取り巻く状況っていうのはどうなっていますか?

umai bow:

そうですね。特に大きな変わりというのは無いんですけども、イベントのスタッフが続々集まりつつあるという事ですね。通常であれば自分の友人とかその紹介なんですけど、今回は全てインターネットを通じて立候補してきた方が多いんです。例えば今回私が「イベントをやるよ」って言ったときに「じゃあ私はDJをやります」「じゃあVJをやります」「VJは出来ないけど映像なら作ります」という人とか。「曲も提供できます」という人とか。色々だったんですね。

モーリー:

そういう色んなスキルを提供する人達っていうのは、どうですか、今のところの接触で、結構技能のレベルは高そうな人が多いですか?

umai bow:

その辺はマチマチだと思います。ただ一つ驚いたのは、ウェブサイトを作るとなったときに、「これこれこんな感じで」って言ったときにですね、その半日後にはすぐアップしてくるんですね。

モーリー:

じゃあかなり早く動いてくるということで。なんでそんなに早いんだと思いますか?

umai bow:

なんでなんでしょうねぇ? 凄い早いですよみなさん。本当に仕事が早いです。

モーリー:

例えば、掲示板の書き込みの中にね、明らかにプロをくぐったと思しき人がフライヤーの印刷の仕方について、そんな甘いんじゃだめだ、と。本当にやるんだったら印刷屋に持ち込むときにRGBじゃなくてCMYKじゃないと、そういう発言があってね。なんか本気になってる技能者いるんだなぁと。

umai bow:

そう思います。

モーリー:

なんていうかな、主導的な役割というか色々とアップやコンテンツ提供を真剣にやってる人に、イベントとして、例えば数百人に膨れ上がったときに、やり通せる人材がいると思いますか?

umai bow:

どうなんでしょう。多分基本的にみんな素人だと思うんですね。ただ素人なんですけど凄く深く突っ込んで研究してる人とか趣味でやってる人とかが多いので、そのレベルというのはかなり高いと思いますね。

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モーリー:

umai bowさんにお話しを訊いています。あの、イベントの実現はどこらへんぐらいまで具体化していますか?

umai bow:

とりあえずまずDJは5人中4人まで決まっています。VJは2人候補のうち1人は確約ですね。その他箱のほうも全て整いましたし。あとは広報活動に専念にするのみというところですね。

モーリー:

あの広報活動に専念する暇もなく、マスメディアがこれを大騒ぎにした場合、逆にどこでイベントをやるか隠す必要が出てくるかもしれないですね(笑)

umai bow:

そうですねぇ・・・ でも「来るならいくらでも来い」という気持ちでいますから。

モーリー:

今のところの自分の中で浮かんでるイベント規模っていうのはどんな感じでイメージされていますか?

umai bow:

一応動員の目標は100人ですね。ただ、私イベントの計画っていうのは前にも経験があるんですけど、「来るよ」って言ってる人の中で実際に来るのは5〜6割程度なんですね。今回もあまり深く期待はしないでやってるんですけど、ただこれが何らかの形でマスメディアに載った場合はちょっと化けるかなという気もします。

モーリー:

で、掲示板の発言や対話の中からイベントにまで盛り上がるってのは結構稀な事だと思うんですけれども、マスコミとか度外視して今の延長上でやった場合100人に達成したとしますね。どういう内訳で人来るんでしょう? クラバーとか良くクラブに行く人以外の人も一杯来そうな気がするんですけど。

umai bow:

そうですね・・・ 今回は元々の発信が2ちゃんねるなので、そちらの方からの動員が多いんじゃないかなと思います。でも私自身はクラブに行く人間なのでクラバーの方にも宣伝しますので、今回の内訳っていうのはちょっと読めないですね。本当に雑多な人達が集まるんじゃないかと。

モーリー:

クラブ初めてとか「なんでこんなに音が大きいんだ」っていうような人もかなり来ちゃうんでしょうかね。

umai bow:

そういう人も来ると思いますね。書き込みの中にも「クラブに行ったことありませんけど行ってみようと思います」という人がいましたから。そういう人にも是非来てほしいなぁと思いますし。

モーリー:

今はデスクトップ上でムネオさんの声なんかをフィーチャーして色々パロディーが流れているんですけど、これを実際に大きな音量でフロアで踊るっていうことが目標になるんでしょうか。

umai bow:

一応それを目指してやっています。今回はムネオさんの声をネタとして音楽を作ってるわけなんですけど、それでも曲を作ってる人っていうのは元々真面目に曲を作ってる人達なので、ちゃんと踊るに値するクオリティの曲だと思うんですよね。

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モーリー:

ムネオハウスのこの様々な風刺の効いた痛烈な作品ですね、これは実際の政治家やニュースの論説委員のデスクが聴く可能性も意識しながら作られたものなんでしょうか。

umai bow:

うーん、そうですね・・・ 私は直接曲を作った側じゃないんでその辺は分からないところではあるんですけど、多分意識はしていないんじゃ無いかと思います。

モーリー:

その点なんか無邪気さというか純真さがあるんでしょうか?

umai bow:

それに溢れてますね(笑)

モーリー:

(笑)

umai bow:

非常に溢れてます。

モーリー:

だから言ってみれば良い意味でナイーブだから、僕が公開質問状みたいなのを投げてね「危機管理してますか?」って訊いたのは、ミーハーの立場で遠くから政治家に野次を言うのは楽なんだけど、その事務所から反撃が来たときにどうするのかな、っていうのがあって。これに対してマスメディアであるとか報道、政治家、当事者達に気づかれて反応がもしあった場合、どういう反応が来ると思いますか?

umai bow:

うーん・・・ 僕が思ってる部分では、別に文句を言いようの無いところなんじゃないかなと思うんですよ。「鈴木議員を馬鹿にするのは止めなさい」って今更そんな事言ってくる事もないんじゃないかと思うんですよ。まぁもしそんな事があったするんであれば、「ハイやめます」位しか言いようが無いですけどもね。これが実際訴訟に持ち込まれるかどうかっていうのは・・・ 僕は持ち込まれないと思うんですけどね。

モーリー:

あの、一種鈴木議員や加藤(紘一)さんがスケープゴートにされてるっていう意見ありますよね。あっちこっちで。で、スケープゴートというものがどう機能するかというと、本人がどこまで核心に近いかに関わらず派手で目立つと。パフォーマンスとしてね。その人達が悪あがきしてみんなが「あいつは往生際の悪い奴だ」と。特に働いてる人は自分の影の部分、嫌な上司とかを投影してですね、憎んだり蔑んだりすることで「ザマァ見ろ」とカタルシスを得る。そうすることで今の現与党の中にある問題のすり替えになっているっていう意見がある。ま、これは皆さんの間でもそういう意識はあると思うんですけど。
ただ僕がふと思ったのは、一応新しいじゃないですかムネオハウスって。洒落も効いてるし。そうすると逆にそれを叩く事がメディアパフォーマンスとして誰かを利する事になりやしないかな、と。

umai bow:

うーん・・・

モーリー:

要するにスケープゴートを嘲笑っていた人達が今度はスケープゴートにされると。

umai bow:

はいはいはい。その可能性もあるかもしれませんけど、そうしたら素直に引き下がりますね、私は。

モーリー:

(笑) 例えばイベントだったら、イベントやる前にイベントやる箱に毎日電話が掛かって来るようになったりとか。そしてお店の人が「怖い」というような事言っちゃった場合は、やっぱり引き下がるしか無いですか?[1]

*1 ・・・ 新宿ロフトプラスワンがイベント開催を誘致した/出来た理由の一つには、日頃から絶えず政治系のイベントへの脅しを受けているため、その対応力が高かった点が挙げられる。

umai bow:

そうですね・・・ あくまでこれ遊びでやってるんであって、もしそれが誰かの迷惑になるようであるんであれば、私はイベントは止めても良いかなと思いますね。ただ曲自体はいつまでも残りますから。

モーリー:

そうですよね。伝送してるのをカットする事は出来ないですから。

umai bow:

そうですね。そういった意味でのムーブメントはいつまでも続くんじゃないかと。

モーリー:

あの、これ昨日モナさんとも話し合ってた内容なんですけど、不器用な叩き方を、例えば真っ先に放送に関わってる人の直感で考えると、これにクレームを付けるのはまず最初に国会を中継したNHKや民放局。「あれはうちの放送の部分だ」と。「だから著作権・送信権はうちにある」というのが一つ。あるいは名誉毀損で議員本人達がなんだかんだと言った場合ですね。
ただそれを言うことによって、それまで2ちゃんねるの存在すら知らなかった人達が、そういうニュースでカバーされた事で逆にムネオハウスの宣伝を結果としてすることになるんじゃない? っていう(笑)[2]

*2 ・・・ 後年このような現象を"Streisand effect"(ストライサンド効果)と呼ぶようになった。 参考: Wikipedia - ストライサンド効果

umai bow:

そうですね。それもあると思います。

モーリー:

つまりマスメディアがそれをエセ正義で叩いて初めてブレイクするムネオハウス(笑)

umai bow:

(笑) それもあり得るでしょうねぇ。ですからどのような形であれ、私としては他の人に、また自分のスタッフに迷惑が掛からないのであれば続けられる部分は続けたいと思いますし、それがダメなんであればあっさり引き下がろうとは思います。

モーリー:

そこら辺は随分潔い、善良な部分を感じますな(笑)

umai bow:

そうですかね(笑)

モーリー:

あの、だいたい掲示板の書き込みの中ではみなさん無頼漢肌な方が多くて、ともすればかなり苛烈な中傷誹謗を展開するのに、みんなに個々に会うとね、勿論書き込みの主はもしかしたら前に出てこないのかもしれないけど、2ちゃんねるで書いてる人って事でこうやってお会いするとね、凄くなんか正義を思ってるような気がして意外なんですよ(笑)

umai bow:

そうですか。私自身は2ちゃんねらーってわけじゃ無いんですよ。たまたま今回ムネオハウスが載ってたので、そこだけに深く出入りするようになっただけであって。普段はどちらかと言えば掲示板はYahoo!の方を良く見てるんですよね。そこだと2ちゃんねるとは全く雰囲気が違って、荒らしのような人達もいないわけなんですよ。
ただ今回のこのイベントをやろうと思ったのは、前も言った通り完全に遊びであるという事ですよね、何かの反体制の側に回ってるとかそういう主張とは全然違うんですよね。なもんで、それが叩かれたんであれば別にそれはいつ止めてもいいかなと。

モーリー:

潔い(笑)

-「muneo-go」-

モーリー:

2ちゃんねるの外部の人がムネオハウスをまぁ・・・ マスコミを想定しているんですけど、取り上げたり批評というか議論したりするときは、そこにどの程度の政治批判や社会意識があるのかみたいな事がかなり問題というか論点になってくると思うんですよね。言ってみればこれは風刺的なマスコミを超えたメディアと成り得るのかという図式。そっちを気にする人が出てくると思うんですよ。
で、どうでしょう、あそこに関わっている人達っていうのは、国会や政党政治に対して強烈な不信感を持ってると言えますか?

umai bow:

多分そっちの方に話を持って行ってしまうと大きく的外れになっちゃうんじゃないかという感じはします。みんな純粋に鈴木宗男議員という人のキャラクターを楽しんでいると思うんですよね。横からみたらただ単純にそれだけの事っていう感じがしますね。そう言ってしまうと元も子もないのかもしれませんけど(笑) 多分世間はそっちの方に話を持って行くと思うんですよ。でもそれは曲を作っている当人とかまた活動している私達にとってはいささか的外れなところかなっていう事だと思いますね。

モーリー:

あの、製作をしたり楽しんでいる人達の中でどこが今一番面白さの中核にあるんでしょうか? あえて言うなら。

umai bow:

どれだけ鈴木議員の面白おかしい言葉をサンプリングできるかっていうところだと思いますね。それと言葉と曲をどれだけマッチさせる事ができるかっていうところが腕の見せ所という感じに見えますね。

モーリー:

えっと・・・そうだな・・・ この動きに、今の直感なんですけど、寿命はあると思いますか?

umai bow:

あると思います。あるとすれば鈴木議員の辞職か逮捕。そこで大っきな花火が上がってそれでおしまいかなと。

モーリー:

それであっけなく(笑)

umai bow:

はい。私自身、このイベントを二度三度と続けるつもりは無いんです今は(笑) 一回みんなで集まって曲を披露してワーッと騒いでもうお仕舞いで良いんじゃなっていう。今の時点で曲を作ってる人も「いつまでもやってもしょうがないよね」っていう事は何度も聞くんですよね。

モーリー:

じゃあ彼等としてはなんというか興味深い音声っていうそんな感じなのかな。要するに今の時事の中で、自民党なり今まで日本がやってきたバラマキ行政とか色々ありましたよね、そういう前の世代の。50年間の繁栄を支えてきたスケープゴートなり灰汁出しなりとかそこら辺に対する笑いというのは無くて、どっちかって言うとちょっと田舎っぽいおじさんの口調、言ってみれば原宿の画面なんかに出ているオヤジの顔を貼りつけたCGでパラパラを踊ってる[3]。あれと似てるんでしょうかね?

*3 ・・・ 2000年頃に都内の街頭モニターで流れていた「Oyaji」の事。2000年11月にCDとVHS/DVDがリリースされている。参考: Sony Music - N.W.O (NEW WAVE OYAJI)

umai bow:

そうですね多分それに似たものだと思います。どれだけこちらを笑わせてくれる事を言ってくれるかっていう。その部分ですね。それに飽きたときに、みんな曲は作るのは止めると思いますね。

-「Stranger」-

備考

インタビュー全文追加日: 2013年3月31日
音源を提供して頂いた方々に深く感謝致します。