2002年3月19日公開「季節の外でPro」ムネオハウス特集第1回(ゲスト: モナ研) インタビュー全文

11年前のこのインタビュー音源の文字起こしになります。

前書き
  • 編集点、楽曲の挿入箇所に"--"で目印が入っています。
  • 可読性を高めるため、句読点の付加、重複表現の省略、体言止めの修正等の変更が加えてあります。
  • 脚注は2013年3月時点の情報に基いています。
  • インタビューを受けた方のプライバシーに配慮し、音源の直接公開は当ページでは行いません。

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モーリー・ロバートソン (以下、モーリー):

いきなり春の風が吹き始めたブクロで、この世の中に勃発した現象の当事者の皆様に少しずつお話しを訊いていこうと思います。今日まず最初にインタビューをしたい相手というのは、ムネオハウスの発信源のすぐ近くにいらっしゃる・・・

モナ研:

横で見てるだけ(笑)

モーリー:

横で見てるだけのモナさん。どうもこんにちは初めまして。

モナ研:

初めましてこんにちは。

モーリー:

えーっと僕がモナさんのサイトを見たのが12時間位前だったのでかなりスピーディーな出会いになってるんですけど、このムネオハウスという一つの現象が起こっています。ムネオハウスとは一体何なのか、どういう風にして起こってきたのかをモナさん自身の言葉でご説明下さい。

モナ研:

ムネオハウスはほとんどお遊びの延長線がいつの間にか大事になってしまった感じで。特に現象というかなんというか・・・。自分はただサイトを立ち上げてるだけなので、横で見ててここまで曲がどんどん上がっていくのも凄いな、と。
あとカバーアートも凄い勢いで出てますので。逆に一体誰が作ってるんだろうかって見てる本人から驚く位のペースで進んでるってのが現状ですね。

モーリー:

そうですか。えっと、ムネオハウスっていうのは鈴木宗男議員が北海道の北の端っこにある島に、通称「ムネオハウス」と呼ばれる施設を建てた。それが疑惑の中に入っていた事が国会の証人喚問で出てきた事。
で、ムネオハウスという言葉に、一種のシャレ・・・

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モーリー:

・・・ですよね。それに端を発して、じゃあハウスのミュージックでムネオさんの声を始めとした音楽を作ってはどうかと。そういうアイデアが最初に出たのはどこで出たんですか?

モナ研:

もともと2ちゃんねるのテクノ板というところがありまして、そこの中のスレッドで「ムネオハウス=アシッドハウス」というような冗談みたいな感じで立ってたんですけど。最初はもう「ふざけるな!」っていう感じで煽りばっかり食らってたみたいなんですが。

モーリー:

すみません。この番組を聴いてる人ってあんまり2ちゃんねるに詳しくないんですよ。「煽り」っていうのはなんですか?

モナ研:

「煽り」というのは、単に「何ふざけた真似してるんだ!」というのを文面で、ともかく馬鹿にしたりとか。よく2ちゃんねるの書き方で、テーマを立ち上げた人は1番っていう番号がつくので、例えば「>1の母です」という風に母親口調で馬鹿にしたりとかするんですよ。それを一般的に「煽り」とか言うんですけど。
それで、たまたま立てた人がそのまま幾つか煽られるというか馬鹿にされる展開で進んできたんですが、ある日実際に曲を作った人が現れて、たまたまその曲を取り上げたサイトがありまして。そちらはsawadaspecial.com[1]というかなりオタク系の情報で有名なサイトで、その方のサイトから凄い勢いで波及していって。
その後小康状態になったんですが、新曲が出てまたsawadaさんが取り上げて。徐々に取り上げたところから動きが始まって、次から次へと新曲が登場していって。
最初スパンが短かったんですけど、ここ2〜3日でほとんどアルバム1枚分ぐらいが簡単に完成していくようなペースに上がってきているのが現状ですね。

*1 ・・・ http://sawadaspecial.com 1999年スタートの個人ニュースサイト。2月27日付の最初のムネオハウス記事で「Intro」と「Shikaraba」をミラー配布。

モーリー:

ドンドンと増殖をし続けているムネオハウス。そのムネオハウスとは一体どういう曲調なのか。ここで1曲デモをかけてみますので、皆さんご堪能下さい。

  • 「dj battle」-

モーリー:

どうですか、ムネオハウス。結構イってると思いますけど。ここでちょっと2ちゃんねるの事情というもの、内情というものにも少し言及してお話しを伺いたいと思います。ハイ。

モナ研:

あんまり詳しくは無いんですけど(笑) 実際のところ2ちゃんねると一口に言ってもあれだけ膨大な掲示板があって・・・

モーリー:

1日1600万PV[2]っていうの書いてありますよね。

*2 ・・・ ソースはこの時期のBIG-server.comのバナー広告「2ちゃんねるの1日1,600万PVを支える Big-Server.com」。

モナ研:

そのくらいですね。その中でも実際見てるだけと書いてる人はまた・・・ 書いてる人はもっと少ないと思うんですけど。そこで沢山網羅されてる情報の中でも*****(聞取不能)でも分からない展開にもなってるんですが・・・

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モナ研:

そこで実際にこれだけ面白いスレッドっていうかテーマを見つけてくる人がいて、その人が多くの場合ニュースサイトっていうネット上の面白い情報を集めてくるサイトを運営してまして。そこのサイトの人が、自分もたまにやるんですけど、2ちゃんねるの面白い情報を見つけて「ここの書き込みは凄く面白い」ってみたいに。例えばそれが記号で描いた絵であったり、画像貼り付けであったり、おかしな情報であったり。わりかしタイムリーなものばかりなんですけど。
その中で取捨選択されてる中で、更に面白いものとしてこのムネオハウスが。特に音楽っていうインパクトがあるものが****(聞取不能)ありましたのでブレイクしちゃったんじゃないかなぁと思いますね。

モーリー:

それで、実際に聴いてみてインパクトがあった人がかなりいるんじゃないかと思いますけども、こういった楽曲、それからそこに入っているのは本物の議員の声だと思うんですけど、これはどういう風にして議員の声をどこから採ってどういう形で曲にしているんですか?

モナ研:

これはちょっと比較的簡単というかよくあるパターンなんですけど、例えばテレビの録画をしておいて、その録画した音声だけを出力してパソコンに取り込むんです。その取り込んだ音声を元にして曲をあわせるって事ができますし・・・

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モナ研:

もう一つ最近多いのは、テレビ見れなくてもストリーミングで国会の中継をしていたり・・・

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モナ研:

もしくはテレビ局のニュースサイトでストリーミングでニュースを流してるサイトがありますので、そちらから音声を引っ張ってくるんですね。

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モナ研:

その音声を元に編集して、更に自分で曲調をアレンジしたりすると面白いんですけど。

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モーリー:

言ってみればニュースや報道ソースのリッピングに近いことだと思うんですよね。かつては宇多田ヒカルのCDからリッピングするっていう事が一つのエッジだったのが、今や報道ネタそのもの(笑)。
で、僕も音楽を作ってるんですけど、非常に興味深いなっていうか刺激を受けた部分っていうのは、言ってみれば音楽的なループを抜いてきて、それでリミックスをかけてるんじゃなくて、所謂音楽として意図されていない国会の答弁ですよね、やりあいとか。これを音楽にするという過程が。どういう遊び方をしてるんだろう? と。

モナ研:

必ずしも本当のプロが参入しているっていうんじゃなくて、本当に面白いからみんなで参加してるっていうような。音楽だけじゃなくてグラフィックに関しても皆さん面白おかしく使っていて。段々それが真面目にプリンタブルできるような高度のものも出来ていたりという感じに。
短期間で作ってる人のスキルも凄い上昇するんじゃないか、っていうのはありますね。

  • 「Shikaraba」-

モーリー:

ムネオハウスというのはもう産声を上げてから間も無くして爆発的な勢いで、曲もこの数、そしてそれを参照する人達のページビューがどんどんと増えております。
で、この雪崩を打っている現在の状況なんですが、これを形にしていくというような、そういった動きがあるんでしょうか?

モナ研:

形というか・・・ これはちょっと流れが面白いんですけど。ちょっと前にエイベックスがコピーコントロールCDとか出して[3]「ネットでみんなが曲を配布するから規制かけちゃダメだ」っていう風に言ったんですけど、逆に面白いのはムネオハウスの場合はダウンロードしたり、俗に言うネット上の共有っていう、WinMXみたいなソフトがあるんですけど、そのソフトを使って落とした人の多くが「これをCDにしたい」って言う人が多いんですよ。

*3 ・・・ エイベックスによるCCCD商品の発売は2002年3月から。

モーリー:

あのムネオハウスっていうのは分散した人達の色々な力が結集している雰囲気があるんですけれども、例えば仕切りというか運営というか、そのように中枢となるようなコアとなるグループの人達は・・・ 例えばパーティやレイブで言ったらオーガナイザーですよね。こういったタイプの人達は手を挙げ始めていますか?

モナ研:

曲のところではほとんどいませんね。
今イベント企画してるところがあるんですけど、そちらの方は主要メンバーが固定しているようですけど、曲の方に関しては全体的にみんなが言った意見がそのまま反映されて、アルバムの収録はここまでとか。特に3枚目に関しては当初3枚でおしまいという話があったみたいで、それで17曲くらいまで増えちゃったんですけど。「10曲で区切って、それであったら4枚目作った方が良いんじゃないか」っていう話に流れてしまって。
あとはもう曲の並びがあるんですけど。基本的に並べ方についてはリリース順であったりとかして「このジャンルはここだから1と2は入れ替え」ってのは無いんですよ。逆に最初固定したもので後はみんなでそれぞれ楽しんでという形で。

モーリー:

更に総合サイトが、ミラーもあるんでしたっけ?

モナ研:

ええ。

モーリー:

その総合サイトの元のサイトとミラーの方のサイトで、リンクの一つには素材が一杯出ているサイトっていうのがありますね。ここには国会の答弁がかなりの長い時間でいろんな形で、5分や10分ぐらいのmp3ファイルとして公開されているんですけど。
こういった素材をDLしてまたリミックスをかけたり作曲したりする人っていうのは増えそうですか?

モナ研:

そうですね・・・ 立ってるのがテクノ板というところと、更に2ちゃんねるのカテゴリにDTMと言って音楽作成する掲示板があるんですけど、こちらの方からもどんどん参入してる方がいますので。
多分素材さえ上がればあとは勢いがどんどん続くんじゃないかな、ってのはまだありますね。

  • 「Muru-Core」-

モーリー:

ムネオハウス爆発中です。これからもどんどんとヒット数、そして参入者の曲の数、分散してそれを載せているサイトの数もどんどん増殖していくかと思いますが。
私思うに、これあと一歩で、例えばYahoo!ニュースのようなマスコミに隣接したところが気がついてですね、記事になるんじゃないかという気がするんですけれども。
それが起こったときにどうなるかと思いますか?

モナ研:

多分変わらないと思いますね。特にムネオハウス自体に参加している人のほとんどが政治的意図なんてのはほとんど無くて、単に「面白い話題だ」「これは面白い素材だ」「楽しめる」というところが基本になってますから。
よくテレビとかでやってるムネオ応援ソングってのを昔TBSかなんかがデッチ上げた事件あったみたいですけど[4]、ああいうような勘違い系では無くて、もうちょっと・・・ どうなんでしょうかねぇ。本当にムーブメントっていうかみんなが面白おかしくやれるっていう感じぐらいまでで、多分勘違いした人がこれが政治だなんだと言っても無視されるだけで終わると思います。
やっぱり来てる人がほとんど大人というか遊び慣れた人が多くて。今掲示板の中の話題が5番目まで移行してるんですけど、その中でも他から変に荒らしに来てる、荒らしというか変なこと書いてる人が現れるんですけど、もう片っ端から無視するんですね。逆に音楽を聴いてる人はそもそも遊び慣れてるし、そういう雑音にも強いというのが傍から見てて「あぁ凄いな」という風に。
ですからメディアの人が大騒ぎして勘違いした記事を書こうが、「ここは自分たちでもっと楽しもう」っていう展開になると思いますね。

*4 ・・・ 3月5日付け日刊スポーツ記事「TBS悪ノリ“宗男応援歌”ヤラセ疑惑 」を参照のこと。

モーリー:

あの・・・ どうでしょう、自分達の楽しみ方っていうのは政治性はあんまり無くて比較的無邪気だと思いますか?

モナ研:

無邪気と言うよりももう少しブラックな感じですね。
特にムネオ氏が離党したときの曲層が面白かったのが、最初にセンセーショナルに作った人がいたと思ったら、逆に泣いている会見をすごく面白おかしいメロディを載せるような人が現れたりとかする。それが上手い形で重なっていくので。特に3rd収録になってる楽曲自体が面白いのが、離党に関して解釈がマチマチであって、「あぁ可哀想」な感じかなっていうのと「やっちゃった♪ やっちゃった♪」っていうようなノリがあって。
そこのコントラストを見ると凄い面白いと思いますね。

モーリー:

勘違いのマスコミの取材というのは来るとは思うんですが、多分僕が記者だったらするだろうなっていうのが(笑)してて。ある段階でこれがテレビニュースであるとか新聞に載った段階で、これは政治性を、社会性を、時事である以上帯びてくると思うんですよ。で、それに対してすぐに幾つか適応できる条項っていうのが浮かぶんですけど。
一つは送信権? 送信可能化権ですよね。NHKからサンプルを抜いた場合はNHK著作権に抵触している。そして個人の名誉及び肖像権でしょうかね。そしてサンプリングを他の曲から抜いてきた場合はその曲の著作権等々が。
そういう正規のルール適応で、例えばサーバの会社に圧迫をかける等。もしくは、まぁ自民党がそこまで真面目に取り合うかはともかくとして、例えばサーバの会社、BIGLOBEならBIGLOBEにこれを遮断しなさいと書類を送りつける等。色んな事が考えられるんですけど、そうなったときの危機管理はお考えですか?

モナ研:

危機管理というのは2つありまして。まず一番目というか死活問題なんですが、ムネオハウスの楽曲を置いている、俗にミラーと言って本来作った作者さんのところに負担がかかるので、自分のサイトに楽曲を置いて紹介するっていう方法があります。ここのところの転送量が1日で通常のサイトの数百倍じゃ済まないくらいになってどんどん閉鎖されるという展開になりました。
これがもう目の前の危機という事になりますし。

モーリー:

物理的なものですよね。

モナ研:

そうですね。更に法的な物になってくると・・・ 「冗談をどこまで許してくれるんだろう」っていうところになってくるんですが。
送信権という風なのは言われてしまえばそうかな、っていうのはあります。だけど肖像権なんて言ったときに新聞社、例えばスポニチとかzakzakのサイトを見てると、思いっきりムネオ氏の顔をネタにした写真を一杯置いておいて、あれが果たして許されてじゃあ個人で冗談でやったらダメなのか、じゃあマスコミだったら好き放題やって良いのかって言うと、それはさっきの「オマエモナー」っていう話になっちゃうんですよ。
マスコミだったりだとかスポーツ紙だったら無邪気にはしゃいで好き放題他人をやっちゃって良いのかと。一般的にそういう叩かれる人ってのは私人でなくむしろ公人で。例えば、そうですね・・・ これも叩きのネタになっちゃうんですけど、よく小林よしのりさんが漫画の中で凄い有名人をボコボコに描く事があるんですけど、あれも禁止になっちゃうんですよね[5]。「俺の顔を描いちゃいけない」っていう風になっちゃって。
じゃあ全てそういうパロディーを死滅させて良いのかっていうと、それもなんか器量が無いなぁって気がしますね。

*5 ・・・ 実際に小林が名誉毀損で訴えられた事例: Wikipedia - 上杉聰 #名誉毀損裁判

モーリー:

あの今は亡き新潮社の写真週刊誌の走りのFocusなんですけど、末尾のページにマッド・アマノさんって写真家が色んなコラージュを何年も作って[6]。やっぱり裁判も何回かあったみたいですね[7]

*6 ・・・ マッド・アマノ『広告狂の時代』。1981年からFocus休刊の2001年最終号まで連載。
*7 ・・・ マッド・アマノ氏関連裁判の一例: Wikipedia - パロディ事件

モナ研:

マッド・アマノさん、実は昔薬害エイズ訴訟のボランティアやってたときに座り込みのときに本人と会ったことがあるんですけど(笑)
うーん・・・ 裁判になると言っても、逆にそこで自分が情けないっていうのを晒しちゃうような気がするんですよね。

モーリー:

どう情けないっていうこと?

モナ研:

これはあくまで一例なんですけど、例えば辻本さんの場合だと国会の答弁なのに「お母さんに話すように」「ど忘れ禁止法」とか「疑惑の百貨店」とか誰がどう見ても名誉毀損というか酷い話なんですけど、そう言っておきながらさぁ自分がうそ臭いと言われたら逆切れしてこれは名誉毀損だって言うのはどうかな、と。
そういう意見は出てもおかしくないし、自分が言ってるんだったら逆にそれが戻ってきた場合に途端に「私は被害者だ!」って言ったら、じゃあ「あなたは今まで何言ってたんですか?」ってツッコミを食らってもおかしくないですよね[8]

*8 ・・・ 当時はまだこのような状況を「ブーメラン」と形容する事は無かった。ネット上でこの表現が定着するのは2000年代後半から。

モーリー:

あの、最終的に日本の出版ですとかメディアの話になってきますと、どうしても避けて通れないのは、特に中で働いてる人の視点から言いますと、力関係というのがありますよね。最終的に確かに理屈上は対自民党で「オマエモナー」と言い返せるんですけど、実際自民党相手に裁判をして勝てると思う一人だけの人というのは少ないんじゃないでしょうか。

モナ研:

・・・ ケツまくって逃げるんじゃないですかねそのときは。「知りません」「ハイ削除しました」で終わりですね。まぁそのときは終わりは終わりなんですけど。
ただ、これだけ多くDLされたんであればこのムネオハウスっていうのはデジタルデータとして延々として残るものになってしまってますから、止めたところでもう止まらないと思いますね。そういう禁止するとかしないとかそういう次元じゃないですから。
ほとんどその自分たちの感情みたいなもんで、「あぁ変だな」「うそ臭いな」っていうのを具体的なデータにしたのがこれだと思ってますし。そうなってくるともう思想統制するしか無くなっちゃいうんですね。「私に疑問をも持ってはいけません」「私は議員です」って言うとそれは独裁じゃないかっていう話になりますよね。

モーリー:

あるいはマスコミの側で、所謂見えない糸というのかな、非常に巧妙な自己思想統制みたいなのやることもありますよね。腰となる核心に各紙新聞が示し合わせたように触れなかったりとか。
そこら辺に言ってみれば下半身をむき出しにしたムネオハウスという楽曲が流通し始めている感じがするんですけど(笑)

モナ研:

でも今時メディアの内容を信じる人はほとんどいませんね。多分新聞の内容を関しても「あぁ嘘だな」と。メディア自体は全然戦後から進歩していないので、昔の大本営と一緒で「ワーッ!」って言ったら右も左も「ワーッ!」って言うんですよ。
特に一番2ちゃんねる見てて面白いのが、スポーツ中継でオリンピックだったりW杯とかの時に民放の放送は見たくないってい人が多いんですよ。自分も良くあるんですけど、例えば先日やってたF1かなんかで訳の分からないタレントの人が延々訳の分からない話をしていて、見ていて気分を害しちゃうんですよ[9]。あとその人がギャーギャーはしゃいでて全然レースじゃないじゃないか、と。こっちは集中してみたいのに、というのがあったりとかして。
同じように一時期すごく叩かれたのが、日テレかどこかのキャスターの人が「ゴール!ゴール!ゴール!ゴール!ゴール!」って延々騒いでて、せっかくのゴールシーンが全部台無しになっちゃってのがあったんですよ[10]。その時もすごい拒否反応を示して、「こんなんだったらNHK見たほうが良いんじゃないか」とみんな拒否反応を示すんですよ。テレビの方は絶叫アナウンサーって大喜びして紹介してたんですけど、視聴者はほとんどはこんな奴の顔なんか見たくないってのはあったんですよ。「こいつなんか出てきた番組なんかスポンサーにクレーム付けてしまえ」とかという状態だったんで。
だからほとんどメディアの方が視聴率が取れているて言ってても、ほとんどの人は真に受けているかといえば全っ然受けてないと思いますね。

*9 ・・・ 2002年3月3日にフジテレビが放送したF1オーストラリアグランプリ中継に菊川怜松岡充が出演していたとの記録が残っている。参考: Wikipedia - F1グランプリ#ゲスト・その他の出演者
*10 ・・・ 2000年9月14日シドニーオリンピック・サッカー日本vs南アフリカ戦中継での日本テレビ船越雅史アナウンサーの実況のこと。

モーリー:

あの、実際に現実の世界に住んでいる人と、もう一つの現実であるメディア、芸能界に住んでる人っていう風に完全にデバイドが出来ているとは確かに思うんです。そして、例えばエイベックスの社長さんが最近発表された中に、歴代の赤字をエイベックスは経験していて、しかも浜崎あゆみさんに去年は40%、今年は10何%収入を依存していて。そういった曲がmp3でタダでやり取りされている事が自分たちの減収減益に直結してる、と[11]。で、これと同じ事を言っているのがアメリカのレコード協会のRIAANapsterを潰そうとしてるんですけど[12]、判事さんが最近Napster側の言い分を認め始めて、もしかしたらなんだかんだ言ってRIAAって不透明なことしてるんじゃない?って言ってますよね。

*11 ・・・ 2002年3月期決算発表に伴うインタビュー等での発言と思われるがソース見当たらず。
*12 ・・・ Wikipedia - Napster

モナ研:

それは自分も良く追ってましたので。基本的に片方の権利を一方的に認めてしまうと、もう片方は押されるだけで。じゃあ極端な話アメリカの特許を抑えたら全てこっちのもんだって一時期ゲーム会社に難十億も訴訟したとか、あんな馬鹿な展開になっちゃうとは思いますね。

モーリー:

例えばNapsterから端を発して、Morpheus[13]とかGnutella[14]とかのクローン、ファイルを共有するユーティリティが出てきてるし。確かWindowsのXPやMacのOS10もその機能を一部吸収してるんでしたっけ? P2Pという形で。

*13 ・・・ Wikipedia - Morpheus
*14 ・・・ Wikipedia - Gnutella

モナ研:

メッセンジャーの方で送れます。あれは1対1になるんですけど。Windowsメッセンジャーちょっと制限があるんですけど、相手に対して直接ファイルを送る事ができますので。今までみたいにメールで送って、「メールチェックしたら凄く大きいのあった」って困るよりは、「今から大きいの送りまーす」って言って待ってるだけで落ちてくるんですよ。それを使えばほとんどスルーして行ってしまうって形になりますね。

モーリー:

つまり公的な戦いだと力関係があって裁判所に行った段階でもう形上負けたようなものであると。そしてマスメディアも自分たちの側に多分立たないだろうということが予想されますよね。そうなったときに、でもP2Pだと禁止しようが何しようが続いていくと。そういう感じでしょうか?

モナ研:

そうですね。結局のところ昔からそういう風に極端な思想が走って、それが独裁して、でもどっかでそれが崩れていってまた誰かが行って、っていう繰り返しがずっと続いているんで。
多分今変わったと思ってる、例えば元貸しレコード屋さんで今大っきなダンス音楽作ってるとこあるんですけど、あそこの方も今回のコピーガードで「完璧だ!」と思ったら全然評判が悪かったっていうぐらいですから。多分頭で思ってるだけじゃないですかね。誰も「勝った!」って言ってる人の手を上げてはないですから。横でせせら笑ってるって位じゃないですかね。生暖かい瞳で見てるっていうか。

モーリー:

なるほど。

  • 「Sougou Shousha」-

備考

記事投稿日: 2013年3月31日
音源を提供して頂いた皆様に深く感謝致します。