田中真紀子 完全敗北 / 辻元清美&菅直人 比例で復活 他

「わからん…」。後援会関係者はそうつぶやき、何度も首をかしげた。
民主党前職で文部科学相田中真紀子氏(68)が、旧山古志村の村長だった自民党前職の長島忠(ただ)美(よし)氏(61)に敗れた新潟5区。くしくも16日は真紀子氏の父、角栄元首相の命日だった。比例での復活もならず落選。親子で60年以上守ってきた議席を失い、「田中王国」は崩壊した。
新潟県長岡市のホテル。選挙区での敗北が伝えられると、集まった支持者らは声を上げることもなく、テレビ画面を厳しい表情で見つめ続けた。
真紀子氏は平成5年の初出馬以来負けなしだが、今回は相当な危機感があった。
初めて連合に推薦を依頼し、前回は断った比例代表との重複立候補を受け入れた。現職閣僚でありながら、選挙区に何度も入って支持を訴えた。
かつて後援会組織「越山会」は鉄の結束を誇ったが、解散後は旧会員たちの高齢化も進んだ。「民主党への逆風が想像以上に強かった」。支持者の一人はそう言ってうなだれた。
真紀子氏がホテルに現れたのは午後9時20分ごろ。敗戦を覚悟していたのか表情に険しさはなく、笑顔を浮かべていた。「すべては私に責めがある」。さばさばとした様子でマイクを握り、「大きな温かい支持をずっといただいた。熱烈な、立派な選挙をしてくださりありがとうございました。本当に私は幸せ者だというふうに思います」と支持者をねぎらった。「政治とは何か、生活者がどういうことを政治に求めているか、冷静に考える時間がほしい」とも。
壇上から降りると、支持者の席に歩み寄り、「ありがとう」「お疲れさま」と声をかけながら、一人一人と握手を交わした。
その後、報道陣に「民主党が国民のニーズを吸い上げて、前に進めていく力をなかなか発揮できなかった」と敗因を“分析”。今後どうするか問われると「この地域に責任がある」と述べ、政界引退は否定した。
一方、真紀子氏を破った長島氏の支持者の県議は、長岡市の会場で「われわれは田中角栄先生の薫陶を受けてきたが“田中の時代”は終わった」と宣言、拍手に包まれた。長島氏はこう振り返った。「挑戦するときは雲の上の存在だったが、一歩一歩追いかけていった」

比例でも復活ならず。

「良かった。清美でゴー」。接戦の末、日本維新の会松浪健太氏に小選挙区で敗れ、比例代表で復活当選した民主党辻元清美氏は喜びを爆発させ、花束を突き上げた。
前職2人が政党を変えて争う「離党組」対決となった大阪10区。辻元氏は平成22年に連立政権から離脱した社民党を去り民主入りした。元自民党の松浪氏とは過去2回の衆院選で、1勝1敗と議席を奪い合ってきたライバル。民主逆風が吹き荒れた今回は「(比例代表の)政党名は自由に書いて。個人名は辻元」となりふり構わず訴えた。
17日午前0時ごろ、事務所に現れ「政治がタカ派になるんじゃないかという懸念が消えない。ハト派やリベラルの力を結集し、再出発したい」と敗戦の弁。約1時間半後、比例復活の報を聞き、涙ぐみながら「何とか大阪で議席を守れた」と支持者に頭を下げた。

東京18区は、10回連続当選を果たしてきた民主前職の菅直人氏(66)が自民元職の土屋正忠氏(70)に敗れたものの、比例代表の復活当選を決め、辛くも議席を守った。
テレビが比例復活を伝えたのは17日午前3時すぎ。東京都府中市の事務所に集まった支援者たちは拍手をし、握手をし合った。
3年前は政権交代の主役の一人だった菅氏だが、今回は厳しい選挙戦を強いられた。首相在任中に福島第1原発事故が発生。事故対応が後手に回ったとして批判を浴びた。今回の衆院選は地元に張り付く「どぶ板選挙」を余儀なくされた。街頭で「原発ゼロ」と書いたビールケースに立って訴えたが、伸び悩んだ。【安高晋、川崎桂吾】

新党大地は北海道に絞り、7小選挙区比例区重複の候補者を擁立。「北海道が良くなれば日本が良くなる」と地域色を打ち出し、北方領土問題の解決や北海道への五輪招致などを掲げたが、小選挙区での議席は得られなかった。
前回のような民主党との選挙協力は行わず脱原発など政策が近い日本未来の党と連携。ただ、中小政党同士による選挙協力の効果は薄かった。鈴木宗男代表が公民権停止中で選挙運動ができなかったことも響いた。鈴木氏は16日夜、「責任を果たせず申し訳ない」とコメントした。

比例の1議席石川知裕候補が獲得したため、娘の貴子候補は完全敗北。

津島雄二氏の息子・淳氏が二回目の国政挑戦で初当選。