ロシア外務省日本の反応に不快感 / 鳩山由紀夫 党最高顧問辞任 他

【モスクワ時事】ロシア外務省は25日夜、声明を出し、メドベージェフ首相が来月上旬にも北方領土択捉島を訪問するとの情報に関して「南クリール諸島(北方領土)は不可分のロシアの一部だ」と主張し、不快感を示す日本側をけん制した。また「ロシア指導者が自国領内を移動する計画に外国が口を挟むのは不適切だ」と強調、訪問予定であることをロシア政府として事実上認めた。
 藤村修官房長官は25日の記者会見で「ロシア政府要人による北方四島訪問は、領土問題に関するわが国の立場と相いれない」と発言していた。 (2012/06/26-18:27)

民主党鳩山由紀夫元首相は26日午前、輿石東幹事長に電話で、消費増税を柱とする社会保障と税の一体改革関連法案の衆院本会議での採決で反対すると伝え、「党の方針に反する行動を取るので、最高顧問を辞める」と申し出た。輿石氏は「分かった」と応じた。鳩山氏は野田政権下で外交担当の党最高顧問に就いていた。反対しても、離党の考えはないとしている。
 鳩山氏に近い松野頼久官房副長官は同日午後、城島光力国対委員長衆院議院運営委員会筆頭理事の辞表を提出した。城島氏は辞表の扱いを保留している。 (2012/06/26-12:51)

【モスクワ=佐々木正明】ロシア極東サハリン州のニュースサイトが24日、メドベージェフ露首相が来月初旬、北方領土択捉島を訪問する計画があると報じたが、北方四島では今、ロシア連邦政府によって多額の予算が投じられ、「ロシア化」が着々と進んでいるのが実情だ。ロシア政府は日本政府の抗議を無視する形で、北方領土の経済開発や軍事拠点化を加速化させている。
メドベージェフ首相の択捉島訪問は、来月4日にも行われるとの情報もある。同訪問は、四島を事実上管轄するサハリン州政府が準備を進めており、5月の組閣で極東地域の全権代表から大臣に格上げされたイシャエフ極東発展担当相らが同行する案も検討されているという。
メドベージェフ氏は大統領時代にも、率先して四島のプレゼンスを高める政策を打ち出してきた。昨年2月には、北方領土を「ロシアの戦略的地域」と名づけ、四島に配備されているロシア軍の増強と施設の近代化を国防相に指示した。
軍事筋によれば、昨年から今年にかけて、四島にはロシア全域に展開されている「T−80BV」戦車や新型装甲車が配備。さらに、数年前から工事していた択捉島の飛行場も完成したという。
一方、ロシア政府は総額300億ルーブル(約720億円)以上をかけて、四島のインフラ整備を進めており、昨年秋には、メドベージェフ氏が外国企業の参入を呼びかけていた。その流れを受けて、先月末から韓国企業の作業員40人以上が択捉島に滞在し、港湾工事に取り組んでいる。
日本政府の抗議に対し、ロシア側は「(閣僚らの訪問は)国内視察の一環」「ロシアの一地域の開発にすぎない」などと受け流す姿勢に終始している。

北方領土国後島の関係者によると、同島海域で26日未明、日本人を乗せた船舶がロシア国境警備当局に拿捕(だほ)され、日本人2人とロシア人2人が拘束された。4人は国後島の当局施設に収容されているという。
同日午後2時ごろ、ロシア側から在ユジノサハリンスク日本総領事館に「ロシアの領海内に入った船を拿捕した」と連絡があった。船員の健康に問題はないという。
関係者は、日本人は「ナカウラ・シゲオ」と「ヤマガタ・クニアキ」といい、北海道根室の花咲港から来たとしている。4人はナマコの密漁か密輸をした疑いで摘発されたとみられている。船体には何の表記もなく、船籍は明らかになっていない。別の関係者によると、船は国後島から北海道に向けて航行中に拿捕され、乾燥ナマコ約200キロを積んでいたとする情報もある。(ウラジオストク=西村大輔)<<