国後島の中国人労働者 その実態

去年11月のメドベージェフ大統領の国後島訪問以降、北方領土を訪れたロシアの閣僚や高官は、7か月で実に9人にのぼっています。日本の政治が停滞する中、着実に実効支配を強めようというロシアの強い意志が見て取れます。そんな中、国後島でロシアの企業が中国人労働者の雇用を進めている実態をJNNのカメラが捉えました。
先月末、国後島・古釜布の港に10人の中国人が上陸しました。彼らの姿は住宅の建設現場にありました。北方領土では、ロシア政府が巨額の予算をつぎ込み、インフラ整備を進めていて、この現場もそのプロジェクトの1つです。
ロシアの実効支配がさらに強まることを意味するこうした開発。その現場に中国の労働者が投入されているのです。
「(中国人を雇用することに)政治的な理由は全くありません。建設労働者としての質が全てです」(中国人を雇用した建設会社の責任者)
この現場で働く中国人労働者は現在20人。近い将来、倍に増やす予定だといいます。
「(北方領土は)私たちのものです。(日本側の)意見は尊重しますが、私たちにも自分たちの考えがあります」(中国人を雇用した建設会社の責任者)
今年3月、2人の中国人労働者が働いていると、JNNが報じたこちらの農場。現在はさらに増え、8人が働いています。冬の間につくり始めたというビニールハウスが2棟完成していました。ロシア政府は、外国人を雇用する事業を積極的に支援しているといます。
「年末までにロシア政府からお金を借りて、ビニールハウスをあと5棟完成させる予定です」(中国人を雇用している農場の経営者)
作った野菜は、島に駐留するロシア軍などに納品する予定です。
「共同で開発プロジェクトを進める用意があるので、ぜひ一緒にやりましょう。島の歴史のことも尊重しながら、(日本人と)作業していく用意があります 」(ロシア メドベージェフ大統領 去年12月)
日本に対し、北方領土の共同開発を呼びかけているロシア政府。しかし、その一方で、中国人を雇用するだけでなく、中国や韓国の企業に投資を要請するなど、あえて日本を刺激するような対外開放を進めています。<<