首相 ロシア高官と会談 / 観光客34人 ロシアビザで北方領土訪問 他

菅直人首相は9日、ロシアのナルイシキン大統領府長官と官邸で会談し、首脳レベルの協議を通じた北方領土問題の打開に意欲を示した。11月のメドベージェフ大統領との会談を踏まえ「領土問題でも経済問題でも首脳同士で話し合うことで合意した。これからしっかり話し合いたい」と述べた。
ナルイシキン氏はこの後、仙谷由人官房長官とも官邸で会談。仙谷氏は「平和条約が結べるところまで互いの理解と協力を得られるよう、尽力をお願いしたい」と強調した。
一連の会談で、北朝鮮による韓国砲撃やウラン濃縮施設建設を受けた北朝鮮情勢についても意見交換したとみられる。

欧州など5カ国の観光客34人が6月、ロシアのビザを取得し北方領土の国後、択捉両島を訪問していたことが4日、分かった。旅行を企画したロシア極東カムチャツカ地方の旅行会社「トラベル・パシフィック」が明らかにした。
日本政府はロシアの管轄権を前提とした北方領土入りは受け入れられないとの立場だが、同社は「日本政府の立場は知らない。ロシアの法律にのっとって旅行を実施した」としている。
一行は英国、ドイツ、オーストラリアなど5カ国の34人とロシア人8人の計42人。6月14日に国後島、15日に択捉島を訪問した。同社によると、9月にも外国人の団体観光客の北方領土ツアーが計画されている。
北方領土にはこうした観光客だけでなく、商用目的の日本人や中国人、韓国人もロシアのビザを取得して入域する事例が絶えない。(共同)

択捉島オホーツク海側北部を3泊4日で訪れた元島民らの自由訪問第2陣(山本昭平団長ら50人)が4日、根室市根室港にチャーター船で戻った。副団長の渡辺彰さん(58)=網走市=は記者会見で、国後島沖で行われた1日の入域手続きと4日の出域手続きで、ロシア側が団員全員を一人ずつ顔写真と付き合わせる本人確認作業を受けたことを明らかにした。
本人確認はビザなし交流で下船時や乗船時に実施されてきたが、元島民らが故郷を訪問する北方領土墓参や自由訪問ではこれまでないとみられ、出入域手続きの厳格化がうかがえるという。山本団長は「一室に集められて名前と人相風体を確認された。これまでなかったこと」と話している。【本間浩昭】<<