ロシアの「地震外交」

対日関係改善の糸口探る

一方、ロシアの積極的な支援には、日本でのロシアのイメージを変え、「領土問題(での軋轢(あつれき))を抑えて日露の立場が近づくこと」(コメルサント紙)への期待も込められている。露メディアでは「ロシアは日本の同盟国である米国よりも多くの支援を申し出るべきだ」といった有力議員の見解も紹介された。
1999年にはキプロス問題を抱えるトルコとギリシャで大地震が相次ぎ、両国が救助部隊や物資を送り合って“雪解け”が始まった例がある。2005年にはインドとパキスタンの係争地であるカシミール地方で震災があり、その後の支援活動を通じて両国が接近した。
地震外交」が領土という本質的問題に与える影響には懐疑的見方が多いものの、ロシアが対日関係改善の糸口を探っているのは間違いない。
東京電力福島第1原子力発電所の事故を受けて、ロシアが資源・エネルギー面で日本に接近する動きも目立っている。日本企業も参画する極東の石油・天然ガス開発区「サハリン2」からは火力発電の原料となる液化天然ガス(LNG)計20万トンを緊急に追加供給することを決定。ロシアは今年、日本への石油輸出を昨年の2倍にあたる1800万トンに増やす方針だ。

震災以降のロシアの動きを読み解く記事。