北方領土問題 政府「法的根拠ない支配」発言にロシア側即反論 他

枝野氏は「北方4島、竹島については歴史的にも法的に見ても、他の国がそこを事実上、支配する根拠はない。一般的にそういった事実上の支配は実効支配とはいっていない」と強調。その上で「わが国として、実効支配されていることを認めることはできない立場は明確だ」と述べた。
ロシアの北方領土や韓国の竹島への不法占拠については外務省がホームページで明確に主張しているが、民主党政権は相手国への配慮のため、記者会見などで「不法占拠」と明言することを封印している。

前原誠司外相は24日の衆院予算委員会で、自民党下村博文氏が北方領土竹島について「他国による不法占拠ではないのか」と問いただしたのに対し、「法的根拠のない形で支配されている」と述べ「不法占拠」という言葉を避けた。枝野幸男官房長官も同様に答弁した。
前原氏は沖縄北方担当相だった2009年10月、北方領土について「(ロシアによる)不法占拠という言葉はその通りだし、言い続けなければならない」と述べていた。
外相に就任してからは「不法占拠」の表現を避けている。ロシアのメドベージェフ大統領の北方領土訪問を「許し難い暴挙」と非難した菅直人首相の発言が反発を招いた経緯があり、この日の答弁もロシア側に配慮したとみられる。
下村氏は「不法占拠という言葉を封印すること自体が、間違ったメッセージを与えることになる」と批判した。外務省のホームページでは「今日に至るまでソ連、ロシアによる不法占拠が続いている」などとしている。

ロシア外務省は24日、ロシアによる北方領土の領有には「法的根拠がない」と述べた前原誠司外相らの発言に対してコメントを発表し、「我々の主権は絶対的に合法であることに疑いはない」と反論した。第2次世界大戦の結果としてソ連側に移ったと主張。1945年のヤルタ協定ポツダム宣言、51年のサンフランシスコ平和条約国連憲章第107条を根拠に挙げた。
107条は、戦勝国が敵国から取ったものを無効にしない、などとしている。

ロシア外務省のルカシェビッチ情報局長は24日、北方領土問題で日本への支持を表明したバイエルリ駐ロシア米大使に対し、日ロ間の領土問題に米政府が介入するのは容認できないと警告したことを明らかにした。
バイエルリ大使は先週、「北方領土への日本の主権を認める」と発言、ロシア外務省は21日、同大使を呼んでいた。
ルカシェビッチ局長は「われわれはこの問題に介入し、第2次世界大戦の結果を見直そうとする試みは絶対に容認できないと強調した。日ロの国境画定は2国間問題であり、外部からの介入は建設的解決を促さない」と述べた。

なお本日はモスクワの米大使館前への抗議活動でロシア人5人が警備に拘束される事件もありました。