ビザ無し訪問団 根室に帰港 / 民主党 北方領土問題 方針軟化へ

山口団長は「行政府の対応はけんか腰だったが、訪問したロシア人島民の家庭では大変歓迎された。そのギャップが大きいと感じた」と話した。
一行は6日に根室港を出発し、7日に国後島、8日に択捉島を訪問。択捉島では地区行政府の中止決定や悪天候などで予定が大幅に変更され、ロシア人島民との対話集会も開催できなかった。

北方領土択捉島側が独自にビザなし渡航の中止を表明した問題で、同島を管轄するクリール地区行政府のニコライ・ラズミシキン行政長は10日、北海道新聞の電話取材に対し、「大変遺憾だが、ロシア政府に従わなければならない」と述べ、「中止」を撤回しビザなし渡航を継続する可能性を示した。15〜20日に根室市などを訪問する四島交流に島民を派遣する意向も示した。
ビザなし渡航は「四島交流」「自由訪問」「北方墓参」「人道支援」の四つの枠組みで構成。択捉島などの意向は尊重されるが、中止の決定権はロシア政府にある。
しかし、ラズミシキン行政長は7日、すべての枠組みの中止を表明した。
今後、すべての枠組みで中止方針を撤回するかは不透明だが、プリホチコ大統領補佐官が9日、条件付きでビザなし渡航の継続を表明しており、中止が撤回される可能性は高いとみられる。

中央が地元行政を組み伏せた格好。

政府の方針は「四島の日本への帰属が確認されれば実際の返還の時期や態様については柔軟に対応する」(3月の麻生首相の国会答弁)というもの。一方、民主党の09年版政策集の原案には、これまでと同様「早期一括返還」と記されており、政権交代すればロシアとの交渉がいっそう厳しくなる可能性があった。
だが、鳩山代表は7日の記者会見で「四島の主権を認めることを前提に、返還がどのような形になるかは柔軟であって結構だ。政府とそれほど変わりがない」と発言。5月の代表選での公約でも「全面返還を目指す」と記すにとどめており、政策集の表現も変わる可能性がある。
鳩山氏は北海道選出で、祖父は56年に日ソ国交回復を実現した鳩山一郎首相。北方領土問題では、北海道で民主党選挙協力する新党大地鈴木宗男代表とも連携する。鈴木氏も現政府と同じ立場から鳩山氏に助言しており、「(鳩山氏は)『鈴木さんの考えでいい。現実的で弾力的な交渉しかない』と言ってくれている」と語っている。
ただ、鈴木氏が自民党にいた当時、二島先行返還を唱えたことに外務省内で反発が起き、対ロ交渉が混乱した経緯がある。民主党政権が実現した場合、鳩山氏が鈴木氏をどう処遇するかも焦点となる。

鈴木宗男が一枚噛んでいる。