馳浩 歳の数だけジャイアントスイングを予告

馳浩(45)がデビュー20周年の節目の年に、派手に現役生活に幕を下ろす。明日27日の全日本両国国技館大会がラストファイト。メーンで小島聡中嶋勝彦と組み、ヒール軍団ブードゥーマーダーズ(VM)のTARU、諏訪魔、YASSHI組との対戦を最後に衆院議員活動に専念する。25日は得意のジャイアントスイング45回転を予告するなど、明るくリングを去るつもりだ。ところが相手のVMは、この日の新潟大会で予行演習とばかりに大暴れ。ただならぬ雰囲気が漂ってきた。
湿っぽい幕切れは、馳には似合わない。20年間モットーとしてきた「分かりやすいプロレス」で、笑顔のままリングに別れを告げる。「年の数と同じ45回、YASSHIを回してやる。スカッとした終わり方にする」。文部科学副大臣だけに、悪いことをすれば相応の罰を受けるという教育の基本を実践する。
最後の1試合でも手を抜かない。負傷欠場した同期の佐々木健介に代わり、7月23日に1年半ぶりにリング復帰。だが「まだ体ができていなかった。オレらはストリッパーみたいなもの。お客さんは裸を見に来ているのに、その裸が見せられる体じゃなかったらガッカリだろ」。体重は一時の90キロから、全盛期と変わらぬ103キロまでアップ。監督を務める専大レスリング部で、現役部員と連日2時間の練習を繰り返した成果だ。
それでも昨年8月に痛めた右ひざは、じん帯の一部が断裂したまま。90年には脳内出血で一時心臓が止まった。多忙な政治活動と両立するには、危険な職業と身を持って知っている。
特に今回はヒール軍団が相手で壮絶な試合は必至。YASSHIは「これまでの引退試合は、客も本人も気分よく終わるパターンばかり。だからいい気になって、みんなリングに戻ってくる。新しい引退試合の形を見せてやる」と極悪ファイトを宣言する。言葉通りにVMはこの日の新潟大会で予行演習。試合後もカメラマンに暴行するなど普段以上に大暴れし、リーダーのTARUは「引退式やない。葬式や」と吐き捨てた。
風雲急を告げる展開だが馳の決意は揺るがない。政治家を目指すきっかけとなった90年イラクバグダッド、95年北朝鮮遠征でプロレスの持つ「明るい力」の影響力を知っている。「専大の監督は続けるから、いい選手がいたらプロレスを勧める」と関係を断ち切るつもりもない。プロレス人気復興のためにも悪役を懲らしめて、明るくリングを去っていく。<<