小沢一郎 民主党代表を辞退 続報

記者会見に先立つ午後7時ごろには、都内のホテルで国会議員在職35周年パーティーを開いていた羽田孜氏の携帯に電話した。「小泉と同じ未加入が見つかった。俺(おれ)は代表選には出ない。小泉と刺し違える」。この結果、党内には「小沢氏は首相と刺し違えようとした」(横路孝弘副代表)など、自らの進退と引き換えに首相辞任を迫ったとの受け止めが広がった。
ただ首相周辺にも、小沢氏に強制加入以前の未加入の事実が発覚すればそうそう首相を攻め込めないという見方があったのも事実。民主党幹部は17日深夜、「首相が14日に強制加入前の未加入の事実を発表したのは、小沢氏に『おまえの弱点を知っている』というメッセージを送るためだったのか」とうめいた。
小沢氏は、首相の年金未加入の発覚直後の先週末には「これで小泉のクビを取る」と周辺に明言していたが、17日昼ごろには「世の中、うまくいかない」とも漏らしている。もともと今回の代表選は小沢氏周辺にも「参院選での勝敗は見通せない。ここは小沢待望論が多数派なのを誇示しておいて、9月の代表選で勝負すればいい」という声があった。土壇場でぎりぎり政治力を温存し、参院選後の「9月」の仕切り直しを狙った可能性もある。
一方、小沢氏の辞退表明で、党内の大勢は「岡田代表」に収斂(しゅうれん)した。ただ、もともと、岡田克也幹事長でなく小沢氏に後継を望む声が広がった背景には、岡田氏が与党と結んだ年金法案での玉虫色の3党合意を事実上反古(ほご)にし、もう一度「年金」を参院選の争点に掲げて戦う狙いがあった。

十八日午前の閣議後の記者会見で、民主党小沢一郎代表代行が国民年金の未加入期間があったとして代表就任を辞退したことをめぐり、各閣僚から「今さら政争の具にするのはいかがか」(河村建夫文科相)などと、小沢氏の対応を批判する意見が相次いだ。強制加入前の未加入が判明している小泉純一郎首相の責任論を打ち消す観点からの発言とみられる。
坂口力厚労相は小沢氏のケースについて「全然問題ない」と明言。細田博之官房長官も「(年金)制度の趣旨からすると(小沢氏の対応は)行き過ぎだ」と批判したほか、小池百合子環境相は「妙な競い合いになっていて政治不信が募るだけだ」と指摘した。
自由党で小沢氏と行動をともにしたことがある井上喜一防災担当相は「小沢さんらしい。プロセスを見ていると昔の姿が再現されるようだ」と「小沢流」を皮肉った。

結果、民主党は無投票で岡田体制に。