6/18 鈴木宗男 衆院議院運営委員会秘密会での弁明 要旨

鈴木宗男衆院議員が十八日午前、衆院議院運営委員会の秘密会で弁明した発言の要旨は次の通り。
わたしは昨日付で委員長あての弁明書を作成しており、本日はその要旨を述べさせていただきます。
1 今日のこの事態を迎えましたことは、すべてわたしの身の不徳と申してしまえばそれまでではありますが、わたし自身この事態についていささか思うところがあります。
2 第一点は、今回の許諾請求の被疑事実につきましては、そのような事実は存しないということであります。
(1)そもそも平成十(一九九八)年八月四日は、わたしが官房副長官に就任し、五日目のことです。
贈賄側とされるやまりん関係者が官邸の官房副長官室に見えた際にも、事務引き継ぎ、その他の来客が続いており、やまりんの山田哲社長は、官房副長官室のドアは常に開いている状況であり、その在室中に茂木敏充衆院議員や上杉官房副長官が続き、あいさつ以外の話ができる状況ではなかったことを陳述書に明記しております。
(2)わたしとしては、やまりん関係者が来訪され、わたしの官房副長官就任の祝辞を述べられて、盗伐問題では反省しており、林野庁の伴次長にも翌日あいさつに行くというので、伴次長の所に話を聞くように電話をしましたが、伴次長は不在でした。
その後、伴次長から電話があったので、山田会長が反省しておわびのあいさつに行くのでよろしく頼むという話をした記憶はあります。
(3)わたしがこの問題に関係したというのか、林野庁の役人と話をしたのは、やまりんの依頼ということとは全く別の次元でした。
やまりんの関係者が八月四日に見えたのですから、それより前、確かその年の六月末ごろではなかったかと思うのですが、林野庁からの報告で、やまりんの関連会社が六月に公売で入札したものを六月末に島村農水大臣の命令で公売を辞退させられた上で、入札が成約にならなかったことを理由に違約金まで求められていることを聞いたことがあります。
そのとき林野の役人は、やまりんとは関係があっても別法人が入札することは違法ではない、と申すものですから、それなのになぜ辞退させたりその上違約金を取るとは言語道断だ、と強く言ったことはあります。
それは、農水大臣が入札の辞退と言った背景には、地元の材木会社からA代議士、そしてA代議士はB代議士に依頼し、島村農水大臣に話が行ってそのようになったと聞いたからです。
わたしはこの六月末ごろ、林野の役人にこの話をしたことはありますが、これは特定の政治家のラインで適法に入札した業者が、不当な扱いを受けることがあってはならないという思いからの発言でした。
これ以降、わたしはやまりんの盗伐問題について林野に口を利いたことはありませんが、林野の方からわたしの地元ということで報告事項などのついでに話は出たように思いますが、それはわたしは話を聞くという程度のことだったと思います。
(4)したがって、私はやまりんから不正の請託を受けて、林野に働き掛けたという事実は全くないということです。
3 第二点は(1)今回の事件は、五百万円のわいろであるとのことですが、五百万円という事実はなく、四百万円の御祝い名目で政治献金を受領しただけです。
山田哲社長も陳述書で明言されているとおりであり、平成十年八月一日付でやまりんの総務部長が各社および個人から集めた四百万円について、各社の献金額ならびに個人の献金額を明記した表を作成して、その表に基づく政治献金としての領収書の発行依頼を受けた事実があります。その表からも、その時に持参された四百万円であることは明らかです。
どこから五百万円という話になるのか皆目不明です。極論すれば、検察官がやまりん関係者から根拠もなく五百万円という調書を作成したので、五百万円になったとすら思っています。
(2)また、その表によると、四百万円のうち百万円は山洋建設関係、百万円は山和道路関係から出されておりますが、この両社は平成三年から平成八年の間は、やまりん本社が献金を停止した期間になりますが、この間も献金を続けた企業であり、一口でやまりんグループと言っても献金はおのおのの会社の考えで出されていることが分かります。
それを十把一からげでやまりんのわいろとされる理由が分かりませんし、現に山和道路の徳田社長は平成十年八月四日に私の官房副長官就任の祝辞を述べられる際に、お祝いとして「貧者の一灯」を持参したと言われたことを覚えています。
(3)また、前年(平成九年)の国務大臣(北海道・沖縄開発庁長官)就任時にもやまりんグループから大臣就任祝いとして政治献金をいただいており、私としては前年同様にお祝い名目で政治献金をいただいたという思いしかありません。
4 第三点として、今回の特捜部の捜査は、事実を解明するというよりは、最初からわたし個人に狙いを定め、何かないかという捜査手法が取られています。
前述の山田哲社長の陳述書にもあるように、狙いは鈴木一人だと検事が明言するくらいであります。
また、今回の政治資金規正法違反は、北海道開発研究会という政治団体に関連したことでありますが、この政治団体献金をしたこともなく、その団体名義の銀行預金口座に入金をしたこともなく、全く北海道開発研究会に関係しない企業も、この政治資金規正法違反容疑で家宅捜索をされて関係資料を押収されております。
これなどは、わたしに対する違法な事実が何かないかと探すための捜査としか思えません。
5 第四点として、弁明書添付の報告書にもありますように、弱い者に対しては検察官は徹底的に言いなりにさせようとする捜査手続きが取られております。
やまりんの山田哲社長も盗伐の犯人にすると言われて、検事の言いなりの調書を二通取られましたが、事実にないものはないので、調書の訂正を申し立て、真実を語ろうとすると、その陳述書にもありますように、親兄弟も問題にするなどと脅されております。
そして再びあっせん収賄の話になりますが、山田哲社長はやまりんとしては二年分の在庫を抱えており、行政処分明けの公売についても通常通りの対応をすれば足りるので、あえて行政処分後にその間の損失を取り戻すだけの林産物の購入を依頼するはずはないと陳述書で明言しております。
誰かが仮に被疑事実にあるような「行政処分を受けなかったと同様な林産物を購入し得るような取り計らい」を依頼したという供述をしたとすれば、真実に反する供述をしたとしか言いようがありません。
6 最後に、捜査というのは本来犯罪と思われる事実があって、その事実を解明してゆき違反者が処罰されるのが捜査のあるべき姿のはずです。
ところが、今回は最初に鈴木宗男ありきで、わたしを犯罪者にする目的の捜査が行われております。
このような捜査の手法が容認されるのであれば、天下の東京地検特捜部が個人に狙いを定めれば何人であっても犯罪者に仕立て上げることができるということです。
わたしたち国会議員に憲法で保障されている不逮捕特権も、このような捜査手続きを取られては、何の意義も持たないではありませんか。
国会議員の一人一人が自分の立場に置き換えて本件問題を考慮していただきたいと思う次第です。  以上。<<