国後島に「ムネオハウス」?

田中真紀子・元外相との確執が取りざたされている鈴木宗男衆院議員。13日の衆院予算委員会では、佐々木憲昭議員(共産党)が、外務省が北方4島の国後島に建設した宿泊施設が「ムネオハウス」と呼ばれ、鈴木議員の個人的な功績に置き換えられていると、指摘した。
質問で取り上げられた宿泊施設は、国後島に1999年10月、外務省が約4億1600万円を投じて建設した「友好の家」。鉄骨2階建てで、延べ床面積約710平方メートル。75人を収容することができ、日本からのビザなし交流団の滞在や災害時の島民避難所として使用されている。
建物の表側には「鈴木さんは私たちの友達です」と書かれた横断幕が掲げられており、佐々木議員は「現地でこの施設は、鈴木議員が作ったと言われている。ムネオハウスと呼ばれ、食堂の壁には鈴木議員の写真まで飾られているが、これは異常だ」と追及。さらに、この施設建設を鈴木議員の後援会幹部が経営する北海道内の建設会社が受注していると指摘し、「税金の私物化、援助の私物化としか言いようがない」と批判した。
これに対し、小泉首相は「個人の寄付ならともなく、そのように使われているようだったら、よく調査しなきゃいかんと思う」と答え、事実解明に前向きな姿勢を示した。

この佐々木氏の発言が全ての発端。

佐々木氏によると、日本政府が4億1685万円を出した国後島の「友好の家」が、現地では「ムネオハウス」と呼ばれているという。また、工事を受注した業者が鈴木氏の中標津後援会の会計責任者をつとめており、政治献金もしているという。
ほかにも、色丹島の診療所が「鈴木宗男診療所」、92年に日本政府が贈った四輪駆動車が「ムネオ号」と呼ばれているとして、「国民の税金で援助が行われているにもかかわらず、なぜ個人の名前がこんなに出てくるのか」と指摘した。
鈴木氏は13日、朝日新聞の取材に対して「ムネオハウス、宗男診療所は私が(名前を)つけたのではない。(現地の)彼らは信頼を込めて言ったのであり、個人的功績に置き換えられては困る。政治資金は法に基づいて届け出ており、何もやましいことはしていない」と話している。

13日の衆院予算委で、北方四島、アフリカ向けの政府開発援助(ODA)と事業を受注した企業からの鈴木宗男衆院議員(自民)への政治献金の関連が指摘されたことについて、鈴木氏は同日夜、記者団に「いずれも政治資金規正法に基づきすべて適正に届け出ている。ODAに関して企業から頼まれごとをされたことは一度もない。(北方四島関連などの)入札は公募型入札方式であり、政治家が関与できる仕組みではない」と反論した。

田中氏は11月30日、裏金問題の調査結果を公表した際、「自らの責任の重さを痛感している」として、手当の返納を表明した。これを受け、事務方は、外相から寄付を受けるという形で国庫に返納する事務手続きに入ったが、田中氏から返納はなかった。
同省によると、一国会議員に戻った田中氏は現在、公職選挙法上、寄付行為が認められない可能性があり、たとえ本人に返納する意思があっても実現できない場合もあるという。同省は現在、公選法を所管する総務省と対応を検討している。 <<