KAI-YOU連載「新世紀の音楽たちへ」第8回

安倉儀たたた氏の連載。ネットでの「協同作業を通じて作品を作りあげる」例としてYouTubeムネオハウスPVと共に掲載されていました。

ネットからリアルへ ボイドラサークルの変化と即売会の役割

なぜボイスドラマサークルさんがネットからリアルに進出したのか、というと、それは制作に携わった方々との「オフ」会という側面があるように思います。ボイスドラマは制作が大変難しくしかも話数が多くてスケジュールが決まっているため、プロジェクトの管理能力が高くないと作品が完結しない、ということがしばしば起こるのだそうです。そこで、ある時期以降、正確に作品を完結させられる企画者の方々や的確に声を当ててデータを送ってくれる声優さんたちなどが固定化していき、ある種の「顔なじみ」がネット上に生まれてきます。

ネット上において、協同作業を通じて作品を作りあげるということ自体は珍しいことではありません、ちょっと昔なら「ムネオハウス」なんていうムーブメントがありましたし、ネット上でのラップバトルなんかもあります。ただ、これらが最終的に(そして定期的に)オフ会をするか、というと微妙なところかなあという気はします。

(動画省略)

ボイドラはネット上の協同であると同時に、作品制作への誠意を持った仲間たちとの信頼感を生み出すカルチャーでした。

同じ作品を作った「仲間」と出会える場所。そこがボイスドラマにとっての即売会(M3)だったのです。その仲間はいま新しいボイスドラマの聞き専たちを生み出しつつある、という状況になっていますが、その話はまた今度。

インターネットによって加速したボイスドラマの広がりは、即売会や同人のそれだけではありません。ある種のアプリゲーなどでは普通にボイスドラマをサービスコンテンツとして配信していますし、以前からあった版権もののドラマCDだけではなく、ドラマCDだけで展開するコンテンツもゼロ年代に入ってから増えています。音声劇の空間は動画時代になってなお、新しい広がりを見せているのです。
安倉儀たたた 「新世紀の音楽たちへ 第8回「ボイスドラマの変化と『即売会』の役割」」(KAI-YOU.net)
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