森・プーチン会談 続報 / 森氏 ロシアの大学で講演

【モスクワ=酒井充】安倍晋三首相の特使としてロシアを訪問中の森喜朗元首相は21日午後(日本時間同日夜)、プーチン大統領とモスクワ市内のクレムリン(大統領府)で1時間10分会談した。プーチン氏は、昨年3月に北方領土問題で「引き分け」と言及したことを「双方が受け入れ可能な解決策のことだ」と説明したが、「なかなか難しい問題だ」とも述べた。さらに、「日露間に平和条約がないのは異常な事態だ」と語り、今年前半の首相の訪露に期待感を表明した。
両氏は平成13(2001)年、平和条約締結後に歯舞群島色丹島を引き渡すと明記した日ソ共同宣言を「交渉の出発点を設定した基本的な法的文書」とするイルクーツク声明で合意しており、会談ではその重要性を確認した。
森氏は会談で、首相からの親書を伝達し、今年前半に予定される首相の訪露に向け調整。プーチン氏は「首相の訪問を待っている」と述べた。首相は昨年12月のプーチン氏との電話会談で「双方が受け入れ可能な解決策を生み出すべく努力する」と伝えていた。
一方、プーチン氏は北朝鮮による核実験に関し、「断じて容認できない。国際社会の責任ある一員に取り込むためには日露両国が協力する必要がある」と強調した。両氏は極東地域開発やエネルギー分野での日露間協力の重要性も確認。森氏は会談に先立ち、プーチン氏が尊敬するロシア帝政末期の首相、ストルイピンの銅像に献花した。

ロシアを訪問している森喜朗元首相は22日、モスクワ国際関係大学で講演した。北方領土交渉をめぐり「4島一括返還」が実現した場合と「現状維持」が決定した場合に触れて「どちらも恨みが残り平和的な解決にならない」と指摘。最終的な決着に向けて「お互いに譲歩が必要だ」と強調した。
森氏は「勝ち負け無しの解決は大変難しいことだが、知恵を絞れば案は出てくる」と述べた。4月下旬からの大型連休中に予定している安倍晋三首相の訪ロについては「10年ぶりの公式訪問で、プーチン大統領と何とか知恵を絞って話しあってほしい」と語った。
21日のプーチン氏との会談では息のあったところをみせた森氏。得意のラグビー用語を使って「ノーサイド(試合終了)になれば互いを心から尊敬しあう。それは大統領が言った『引き分け』の精神と一致する」と訴えた。(モスクワ=桃井裕理)