ロシア 北方領土整備に31億追加拠出、首相側近国後島訪問へ / ロシア空軍 日本一周で挑発 他

【モスクワ=貞広貴志】ロシアのプーチン首相は8日、日本の北方領土に空港や港湾を整備するため、12億ルーブル(約31億円)を年内に追加拠出する指令書に署名した。
インターファクス通信が首相の訪問先のウラジオストクから伝えた。
首相は、ロシア本土から遠く離れた北方領土の問題を「交通手段の欠如だ」と指摘。追加予算は国後、択捉両島で建設中の空港と港湾の整備に充てるという。

【モスクワ=貞広貴志】ロシアのプーチン首相の側近、ニコライ・パトルシェフ安全保障会議書記が11日、北方領土を訪問する見通しになった。地元関係者が9日、明らかにした。
国後島の当局者と会談し、空港・港湾などの建設現場を視察する予定という。

ロシア外務省のルカシェビッチ情報局長は8日の定例記者会見で、玄葉光一郎外相が同日までに、北方領土が「法的根拠のない形で(ロシアに)占拠・支配されている」と発言したことについて「両国関係にプラスにならない」と遺憾の意を示した。タス通信が伝えた。
玄葉外相は5日、日本のメディアとのインタビューで、日韓両国が領有権を主張している竹島と並び、北方領土が「法的根拠のない形で占拠・支配されている」と述べていた。

ロシア軍は8日、北海道北東部の日本領空に接する形で設定した訓練空域などで演習を始めた。野田佳彦首相が東京電力福島第1原発を視察する時間帯に合わせ、爆撃機福島県沖を飛行。日本列島を完全に1周するのは極めて異例で、北方領土付近では空中給油機も合流し、露骨な挑発の意図が鮮明になった。東シナ海では中国軍のY8の情報収集機型が日中中間線を越え飛行。中露ともに野田政権の外交姿勢を試しているとみられる。

玄葉光一郎外相は9日、ロシアのラブロフ外相と電話で初めて協議した。野田政権発足に合わせて連絡を取り合ったものだが、玄葉外相はロシア軍の爆撃機2機が8日に日本列島の周辺空域を1周した問題に関して「刺激的な行動を自制してほしい。ロシア軍機の動きの意図や対応について日本国民に疑念が生じている」と懸念を伝えた。
ラブロフ外相は2機が領空侵犯していない点を念頭に「国際法上問題はない」との立場を主張した。一方で軍事演習の狙いや背景に関しては「関係当局を通じ、必要に応じて情報提供する用意がある」と語った。

防衛省によると、北方領土の北側(8〜10日)と北東側(9〜11日)のオホーツク海海域に、いずれも射撃のための航行警報が出されており、ロシア艦艇は訓練のため、この海域に向かっているとみられる。
9日午前1時ごろ、小型駆逐艦3隻と補給艦1隻が宗谷岬の南西約250キロの公海を北東に航行しているのを、海上自衛隊のP3C哨戒機が確認。4隻は午後4時ごろ、自由に航行できる国際海峡宗谷海峡を東に向けて通過したという。<<