長野県元参事 百条委での証言はフィクションだったと明かす

田中康夫前知事の知事後援会元幹部による県下水道公社の入札方法変更関する「働き掛け」の記録文書をめぐり、県会百条委員会の証人尋問などで「知事から破棄を指示された」と証言してきた岡部英則・元県経営戦略局参事(現阿南介護老人保健施設所長)は28日、信濃毎日新聞の取材に対し、「知事室で指示を受けたことはフィクション(作り話)だった」と明かした。県議有志の告発を受けた県警の事情聴取にも同様の供述をしたという。
元参事は、本紙の取材、その後の県会百条委員会の尋問などで一貫して「2003年10月9日午前に県庁1階知事室に呼ばれ、記録文書を公開しない方向で調整するよう指示された」としてきた。
取材に対し、元参事は、9日朝知事室で秘書とメモをやりとりしたが、知事室に呼ばれて前知事から指示を受けたというのは「フィクション」で、同日以外にも「知事から直接指示を受けたことはなかった」と話した。虚偽を証言した理由については「知事が文書破棄にかかわっていたことを何とか公にしたい思いがあった。仕方ない手段だった」などと話した。
元参事によると、同9日朝に経営戦略局職員から文書の公開請求について相談を受け、「知事も承知している」と言われた。「知事のイメージを守ることなどを考え、対応を引き受けた」とし、下水道課長と破棄の打ち合わせに入った。
その後、知事から排斥された個人的な思いや、知事が文書破棄にかかわっていた可能性が高いと思ったが立証できなかったことで、「(自分が直接指示を受けたと)一石を投じればいろんな事実が浮かび上がり、真実が明らかになると思った」という。
また、証言を覆した理由について、元参事は、県警の捜査を受ける中で、自分が文書破棄に向けて動きだすよりも前に経営戦略局内で破棄に向けた動きがあったことや知事の関与の可能性が分かってきたため−とした。県警による事情聴取が終わり地検に捜査書類を送付することになったため、明らかにしたという。
「知事から破棄を指示された」とする元参事の証言をめぐっては、文書破棄問題を調べた県会の総務委員会、百条委員会とも、知事室にいたとされた知事と秘書の証言と、元参事の証言が食い違ったままで、事実か判断しなかった。

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