電子メディア文化の深層にムネオハウスの研究論文が掲載

学習院大学教授・遠藤薫氏(執筆時は東京工業大学助教授)の2002年の論文「テクノ・エクリチュール−−コンピュータ=ネットを媒介とした音楽における身体性と共同性の非在/所在」が収録。
ポイントは

筆者は、3回目のイベントに参加したが、やや意外に感じたのは、そこがある意味とても居心地のよい場所だったことである。そこは「2ちゃんねる」のイメージや、このムーブメントに関するマスメディアその他の言説からイメージされるものよりも、ずっと<音楽的>な場であった。アンダーグラウンド的な気負いやかつてのフォークソング・ムーブメントの(どちらかといえば押し付けがましい)「共同体意識」のようなものはほとんど感じられなかった。深夜0時〜早朝6時という時間帯であったにもかかわらず、人々はむしろ礼儀正しくその場を愉しんでいた。「ムネオ」は確かに随所にちりばめられていたが、それは政治的な記号であるよりも。一種の「合図(cue)」であったように感じられた。
遠藤薫 (2002) 「テクノ・エクリチュール−−コンピュータ=ネットを媒介とした音楽における身体性と共同性の非在/所在」 『電子メディア文化の深層』 (早稲田大学出版部 2003) p.78

と実際にイベントに参加しての感想が述べられている点。
多くの参考資料を提示しつつ、ムネオハウスイベントの<身体性>や、音楽としてのムネオハウスの(否-)政治性、<笑い>等について分析・考察を行っているので、ご興味のある方は一読されることをお勧めします。
OPACを見ると、大体の大学図書館には所蔵されているようで、公立図書館でも大きいところにはある様子です。

補足

遠藤先生周辺では、他にも2002年度の東京工業大学のディスカッションプログラムにて「インターネットにおける匿名音楽制作者の活動〜ムネオハウス・ムーブメント〜」と題した発表も有り。