露メドヴェージェフ首相 択捉島を訪問

【モスクワ時事】タス通信によると、ロシアのメドベージェフ首相が22日、北方領土択捉島を訪問した。ウクライナ危機で冷え込む日ロ関係のさらなる悪化は避けられず、岸田文雄外相の訪ロや、安倍晋三首相が目指すプーチン大統領の年内訪日実現に影響する可能性がある。
メドベージェフ首相の北方領土訪問は、自身の大統領時代の2010年11月、プーチン大統領復帰に伴う首相転身後の12年7月に続き3回目。過去2回はいずれも国後島を訪れており、択捉島は初めてとなる。
訪問の目的は、択捉島で開催中の愛国集会「全ロシア青年教育フォーラム」への参加。昨年3月のウクライナ南部クリミア半島編入旧ソ連の対ドイツ戦勝70年で高揚する国民の領土保全意識や愛国心を背景に、若い人材を北方領土を含む極東に向かわせ、四島支配を固定化する狙いがありそうだ。
メドベージェフ首相は、7月に閣議決定された「クリール諸島(北方領土と千島列島)社会・経済発展計画」の次期計画(16〜25年)を踏まえ、択捉島の水産工場や港湾施設を視察。ロシアは、北方領土を含む極東の土地について、希望する国民1人当たり1ヘクタールずつ無償分与する制度も年内に始める。
択捉島のフォーラムにはトルトネフ副首相も13、14の両日参加。日本政府は「日本国民の感情を傷つける」と抗議した。 

【モスクワ時事】北方領土択捉島訪問を強行したロシアのメドベージェフ首相は22日、現地で開発計画の実施状況を視察するとともに、政府主催の愛国集会「全ロシア青年教育フォーラム」に参加した。タス通信などが伝えた。
メドベージェフ首相は日本側の再三の中止要請を無視。日本政府は外交ルートを通じてロシア側に抗議した。ウクライナ危機で冷え込む日ロ関係のさらなる悪化は不可避で、岸田文雄外相の訪ロや、安倍晋三首相が目指すプーチン大統領の年内訪日に影響しそうだ。
メドベージェフ首相はフォーラムで、愛国青年活動家ら参加者100人を前に「極東で一番重要なのは予算ではなく人材だ」と指摘し、若い世代に極東開発への参加を呼び掛けた。また、択捉島国後島を政府の重視する「優先発展地域」に指定すると明言。「極東にバイオテクノロジーの拠点をつくる」というアイデアも披露した。
首相はこれに先立ち、水産工場や港湾施設などを視察。「(港湾施設は)極めて現代的な水準。政府による(2007〜15年の)クリール諸島(北方領土と千島列島)社会・経済発展計画の成果だ」と評価した。7月の次期計画(16〜25年)の閣議決定を踏まえ、外国からの投資に対しては「一番乗りが利益を得るのが原則だ。日本の隣人でも、中国や韓国の友人でも良い」と述べ、日本をけん制した。 
メドベージェフ首相の北方領土訪問は、大統領時代の10年11月、首相転身後の12年7月に続いて3回目。過去2回は国後島を訪れており、択捉島は初めて。視察にはトルトネフ副首相、ガルシカ極東発展相らが同行した。(2015/08/22-19:25)

岸田文雄外相は22日、ロシアのメドベージェフ首相が北方領土択捉島を訪問したことを受け、アファナシエフ駐日ロシア大使を外務省に呼び、「択捉島は日本固有の領土であり、訪問は日本の立場と相いれず、日本国民の感情を傷つけるもので、極めて遺憾だ」として抗議した。
外相はこの後、記者団に「ロシア側が北方四島をめぐり一方的な動きを繰り返している状況を懸念している。平和条約締結問題を含め今後の日ロ関係の前進のために建設的な対応を強く求める」と語った。
一方、「重要なことは北方四島の帰属を解決することだ。問題解決のため精力的に交渉を進めていくことが必要だ」と述べ、ロシア側との対話を継続する考えを強調した。 (2015/08/22-20:49)<<