岸田外相 露首相の択捉島訪問中止を要請 / 露政府は要請を無視

岸田文雄外相は21日午前の閣議後の記者会見で、ロシアのメドベージェフ首相が近く北方領土択捉島を訪問する意向を示していることについて、「ロシア要人による北方領土訪問は、静かな環境の中で政治対話を進めるという首脳間の一致に沿わないものだ。日ロ関係前進のために建設的な対応を求めていきたい」と述べ、訪問の中止を促した。
菅義偉官房長官も会見で「北方四島訪問は日本の立場と相いれず、日本国民の感情を傷つけるもので、絶対に受け入れられない」と強調した。 (2015/08/21-11:56)

【モスクワ時事】ロシア主要メディアは21日、メドベージェフ首相が22日に北方領土択捉島を訪問すると伝えた。首相は21日、極東連邦管区を訪れ、アムール州に建設中のボストーチヌイ宇宙基地を視察。同日夜にサハリン(樺太)入りした。日本政府は北方領土訪問中止を強く求めていたが、懸念を無視して現地入りを強行する公算が大きい。
択捉島訪問は、24日まで開催中の愛国集会「全ロシア青年教育フォーラム」(ロシア政府主催)出席が目的。学生や愛国青年活動家ら参加者100人が滞在中だ。首相は水産加工工場などを視察する予定。22日に悪天候で上陸できなければ、サハリンでの別の会議に出席する。 
21日の宇宙基地の視察には、北方領土を所管するトルトネフ副首相兼極東連邦管区大統領全権代表、ガルシカ極東発展相が同行。共に北方領土に向かうとみられる。
首相は7月23日の閣議で「クリール諸島(北方領土と千島列島)訪問を計画している。他の閣僚にも勧める」と表明。今月17日にウクライナ南部クリミア半島で開催中の同じフォーラムに出席した際には「できれば(択捉島にも)行く」と公言していた。
報道によると、首相は13日付で全閣僚に内部文書を出し、ロシアが編入したクリミア、極東などを「四半期ごと」に訪問するよう義務付けた。「極東」には北方領土も含まれるとみられている。(2015/08/21-22:49)<<