田中真紀子文科相 来年4年開校予定3大学の新設認めず

田中真紀子文部科学相は2日、閣議後の記者会見で「大学設置認可の在り方を抜本的に見直す」と述べ、認可を厳格化する方針を示した。また、大学設置・学校法人審議会が1日に来春の開学認可を答申していた秋田公立美術大、札幌保健医療大、岡崎女子大(愛知県)の3件の4年制大学を不認可とした。文科相が審議会答申を覆したのは、省内に資料が残る30年間で初めてで、極めて異例の判断。
学校法人が大学を開校したり学部を新増設したりする場合、文科相は審議会にその可否を諮問し、答申を受けて決定する。田中文科相は全国に4年制大学が780(国公立181、私立599)校あることに触れ「大学教育の質が低下している。そのために就職できないことにもつながっている」とし、当面は新設を認めない方針を示した。今後、検討会を設け、メンバーの多くが大学の学長や教授で占められている審議会の在り方を見直す。
1日に答申された学部の開設(16件)、大学院の開設(13件)は答申通り認可した。【石丸整】

田中真紀子文部科学相が秋田公立美術大の新設を認可しないとしたことについて、同大への移行を目指していた秋田公立美術工芸短大の戸田郁夫事務局長は2日、共同通信の取材に「今初めて聞いた。びっくりした」と驚いた様子。
「学生の進路に関わる問題だ。どういう形での不認可か、理由が何なのか状況を確認した上で、今後は学内で協議して方針を決めたい」と頭を抱えた。
秋田市の大学設置準備室の大内一史さんは「今は情報を整理中。コメントできない」と対応に追われていた。

田中真紀子文部科学相が新設を認めないと発表した札幌保健医療大の設置準備室(札幌市東区)では2日、報道各社からの電話応対に追われた。担当の男性は「残念だ。急な話なので、対応がまだ決まっていない」と困惑した様子だった。
来年4月開校の予定で、文科省からの認可の連絡を待って年内に学生募集を始める予定だったという。担当者は「2年以上、準備をしてきた。これからどうなるか分からないので準備は続ける」と話した。

田中真紀子文部科学相岡崎女子大学(愛知県岡崎市)の新設を認めなかったことについて、同大を新設予定の学校法人清光学園の長柄孝彦理事長は2日、運営する岡崎女子短大(同市)で記者会見し「悪い点を指摘されたなら分かるが、そうではないので理不尽さを感じる」などと憤りを口にした。
同学園は今後の対応について、高校生への周知を急ぐとする一方、文科省に対しては「いろいろな形があるので、検討したい。大学の開設を諦めたわけではない」としている。
長柄理事長は会見の冒頭で「すべての設置基準をクリアして認可の知らせを待つばかりだったので、大変驚いている」と述べた。また「一部教育機関で不適切な運営がなされていることは承知している」と指摘。その上で「これは経営に当たる人物そのものに問題があり、今回のような基準の見直しで解決するものではない」と話した。
清光学園は、すでに約2億7000万円の予算を組み、備品の購入に充てるほか、新たに教員も雇用する予定で、学生にも先月開催した説明会で広報したという。長柄理事長は「雇用についても今後教員と話し合いたい」としている。
岡崎女子大は「子ども教育学部・子ども教育学科」の1学部1学科(定員100人)を設置し、学生を募集する予定で、来年度の開校に向けて準備を進めていた。<<