ロシア プーチン首相 大統領選出馬宣言

【モスクワ田中洋之】24日に開かれたロシアの政権与党「統一ロシア」党大会で、次期大統領にプーチン首相の返り咲きが固まった。最高実力者プーチン氏の大統領復帰は既定路線とみられていたが、国民の関心を引き付けるため党大会での公表というサプライズが演出された。一方、「強硬派」プーチン氏の再登板で欧米との関係が緊張に向かう可能性もある。

こちらの毎日の記事では北方領土を含む対日関係は強硬路線が維持されるだろうとの見方。

プーチン氏は中国をアジア最大の脅威と見なし、それに対抗するため日本との関係を重視していた。しかしメドベージェフ氏が対日関係悪化を招き、日本というカードを使えない状況を生み出してしまっていた。
メドベージェフ氏の最大の失敗は対北朝鮮外交だ。メドベージェフ氏は北朝鮮との関係改善で国際社会での地位向上を目指す戦略を打ち出したが、プーチン氏は北朝鮮が日本との間で拉致問題を抱えている事実を強く認識していた。さらに大統領は天然ガスを韓国、北朝鮮に送る方針を示したが、これはガスの対日輸出が細ることを意味する。今回、北朝鮮金正日総書記はモスクワを訪問しなかったが、これはプーチン氏側が金総書記の公式訪問という形を取らせなかったためだ。
またメドベージェフ氏はロシアのナショナリズムをあおるため北方領土を訪問し、領土交渉は完全にゼロの状態に陥った。プーチン氏は(平和条約締結後の歯舞、色丹両島の日本への引き渡しを定めた)「56年宣言」をロシアにとって「義務的なもの」と認識しており、この点でも2人の戦略は大きく異なる。
ただ、プーチン氏が親日家だというわけではない。中国に対抗するために日本が大事だという、乾いた力の外交の考えを持っているということだ。
プーチン氏が大統領となれば、日本との関係ではまず北方領土問題が動き始めるだろう。交渉は大変で、ロシアが四島をすぐに返すということは考えられないが、日本人の感情を逆なでするやり方はないだろう。また日本へのガス輸出でも、対中牽制(けんせい)という意味合いから日本に優先的に送ると考えられる。
ただ、プーチン氏はタフ・ネゴシエーターだ。それに向き合うだけの外交的な基礎体力が日本側にあるだろうか。野田佳彦首相は外交に弱いという側面が否めず、ロシアに“してやられる”可能性は少なくない。

佐藤氏はプーチン氏の対中政策のパートナーとして日本との関係は改善されるだろうとの見方。