「くだらない」文化を考える──ネットカルチャーの社会学

社会学の知見からネットカルチャーの分析を試みた一冊。遠藤薫先生の書籍『インターネットと<世論>形成 ── 間メディア時代的言説の連鎖と抗争』 (2004年)、『間メディア社会と<世論>形成 ── TV・ネット・劇場社会』(2007年)の二冊を下敷きにした箇所に名前が残っていました。

一箇所目は、第三章 「インターネットを通じて可視化されるテレビ・オーディエンスの活動──公共性への回路」の第三項「2ちゃんねるの圏域に見られるテレビ・オーディエンス」内。過去、2ちゃんねるで行われた「湘南ゴミ拾いオフ」「マラソン監視オフ」について言及した部分の冒頭に記載がありました。

2 オフ会


テレビ番組をめぐってインターネットで展開されるオーディエンス間の相互行為は基本的にはインターネット上で完結する。ただし場合によってはインターネットでのやりとりを経て、物理的な場所にテレビ・オーディエンスが集まる場合もある。それは「オフ(会)」と呼ばれる。オフとはオフライン・ミーティングの略称で、小ピューター・ネットワークを通じて知り合った者同士が、対面で集まるイベントである。オフはパソコン通信の時代から行われてきたが、インターネットの普及によってオフは広く行われるようになった。2ちゃんねるを発端とするオフの事例として「吉野家オフ」(2001年)、「ムネオハウス」(2002年)、「マトリックスオフ」(2003年)などが挙げられているが[遠藤編 2004/遠藤 2007ほか]、テレビ・オーディエンスも同様のオフを開催してきた。その事例として、FNN系列『27時間テレビ』と連動した「湘南ゴミ拾いオフ」(2002年)や、NNN系列『24時間テレビ』と連動した「マラソン監視オフ」(2004年~)が挙げられる[遠藤編 2004/伊藤 2006、2011/平井 2009 ほか]。


(略)
平井智尚 『「くだらない」文化を考える新刊 ネットカルチャーの社会学』 (七月社 2021) pp.90-91

二箇所目は、「淫夢」と「尊師MMD」について先行するカルト動画研究の観点からの考察を試みる第四章「インターネット上のアマチュア動画に見られる「カルト動画」」の第二項冒頭部分の脚注。

二 インターネット上のアマチュア動画に関する研究の展開と枠組みの検討


日本社会を文脈とするインターネット空間に流通するアマチュア動画に関する研究はフラッシュの時代から行われている*4[遠藤編 2004]。ただし、議論が活性化したのは、動画投稿サイト、特に「ニコニコ動画」のサービス開始以降である。


(略)
平井, 前掲, p.116

この本文への脚注が以下のもの。

4 ── 遠藤薫編[2004]では、前述の「ゴノレゴ」や政治家の不祥事を素材とした「ムネオハウス」などを事例として取り上げている。
平井, 前掲, p.140

備考

記事投稿日: 2022年7月10日

投稿日は出版社公式及び巻末記載の発行日ではなく、amazonで確認できる発売日に準じました。