政府 プーチン大統領の訪日を7月の参院選後で調整へ

日露両政府はプーチン大統領の来日時期を来年7月の参院選後とする調整に入った。ウクライナ問題が進展しないなかで、来年5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)前の来日は、米欧などの懸念を招く可能性があり、困難と判断した。首脳間の対話継続は重視し、来春にも安倍晋三首相がロシアの地方都市を訪問する検討も始めた。日露外交筋が明らかにした。
ウクライナ問題は解決の糸口が見いだせておらず、ロシアと米欧との関係は悪化したままだ。日本はサミット議長国として、米欧の参加国が日露接近に懸念を抱くことに配慮し、サミット前の来日は見送る。
日本側はプーチン氏来日時には、北方領土問題をめぐる何らかの成果が必要との立場だが、交渉は難航している。具体的な成果が見通せないなかでは、参院選後に行うことが得策と判断したとみられる。
ロシア側にとっても主要8カ国(G8)首脳会議から締め出された経緯があり、日本政府関係者は「G7各国を迎えるサミット開催前の時期の来日は望まないだろう」とみている。
一方で、日本側は「領土問題を動かせるのは両首脳しかない」(外務省幹部)として、首脳間の対話を途切れなく行う必要性も認識している。ロシアのペスコフ大統領報道官は11月の首脳会談で、プーチン氏が安倍首相に訪露を求めたことを明らかにしている。
外交筋によると、ロシア側は首都モスクワ以外の地方都市での首脳会談開催を打診し安倍首相訪露の検討を進めている。地方都市であれば非公式訪問となり、成果の有無が問われないとの事情があるとみられる。ウラジオストクハバロフスクサンクトペテルブルクが候補地として挙がっており、日帰り案も浮上している。【大前仁、高橋恵子】<<