露パノフ元駐日大使 対日交渉「意味なし」

【モスクワ時事】ロシアの知日派、パノフ元駐日大使(71)は3日、時事通信のインタビューに応じ、10月に再開した北方領土問題などをめぐる外務次官級協議について「双方が立場を主張するだけなら、続ける意味はない」と評した。また、プーチン大統領訪日の実現自体を疑問視。日ロ関係が停滞して成果が期待できないまま行われれば、「関係をかえって悪化させる」と警告した。主なやりとりは次の通り。
−2国間関係をどう眺めるか。
多くの人が現在の日ロ関係をソ連崩壊後で最悪と考えている。国際問題での双方の立場は共通するどころか対立している。ウクライナも、シリアもだ。日本がシリア(空爆)でロシアを批判するのは、全く理解できない。
−次官級の平和条約交渉が再開した。
双方は立場を述べ合っただけで、解決策、妥協、行程表を見いだそうとしなかった。
平和条約交渉に必要なのは、友好・善隣関係。日本が(制裁など)敵視政策を取り続ける限り、交渉は非現実的だ。交渉は双方に解決策を見いだす意欲があるときに行われるが、日ロ双方ともそれがない。これは交渉と呼べない。双方が再び立場を主張するために交渉する意味はない。
−大統領が言及した領土問題の「引き分け」は可能か。
ソ連は(1956年の日ソ共同宣言で)既に2島(返還の約束)という妥協をした。日本の不満は(本来)ないはずだ。2001年に大統領は共同宣言に基づく交渉を提案したが、日本は拒否。日本は現実的に協議する意欲がなく、妥協の用意がない。だからロシアは、問題は解決済みという立場だ。
−大統領訪日で、ロシアは何を期待するか。
準備は事実上行われておらず、年内の訪問がないのは明らかだ。合意文書の署名も不可能で、互いに不快なことを話すだけの面会になる。日ロ関係を悪化させるだけだ。
今の状況下で成果は絶対あり得ない。(制裁や領土問題で)日本が立場を改めない限り、ロシアは日本に何も期待しない。
アレクサンドル・パノフ氏 44年モスクワ生まれ。68年ソ連外務省入り。ソ連・ロシアきっての日本専門家で、駐韓大使、外務次官を歴任後、96〜03年駐日大使。駐ノルウェー大使を経て、06〜10年外務省外交アカデミー学長。現在はモスクワ国際関係大教授などを務める。(2015/11/04-14:50)