非実在性芸音科学ぷち研究その1 「同人音楽は政治に一発カマせるか? ~MUNEO HOUSE・初音ミク・SEALDs~」

本日開催されたM3 2015秋でサークル「非実在性芸音科学」さんが頒布した無料誌。

同人音楽が政治に直結する可能性なんて、皆様考えたことがないかと思います。そして繋げる意義も考えない、むしろ「同人に政治を持ち込むなよ…」と思うことでしょう(僕も若干そう思う)。
ところがかつて、同人音楽が政治にモロ直結しかけたことがあります。アラサーの方はご存知かもしれませんが、かつて鈴木宗男衆議院議員汚職事件で注目された時に、ネット上で「ムネオハウス(以下 MH)」というテクノ音楽が話題になりました。これは2ちゃんねらーにより作られた、鈴木宗男の発言をサンプリングしたハウスミュージックのことです。TV ニュースでも取り上げられたようで、ボカロ現象には及ばないものの、結構な影響力を持ちました。今回はこれを軸に「同人音楽が政治や社会を変えうるか」「それに意義があるのか」「同人は非政治的であるべきではないのか」などの問題について簡単に述べていきたいと思います。
aoiiiin 『<ぷち論考>同人音楽は政治に一発カマせるか?~MUNEO HOUSE・初音ミク・SEALDs~』「非実在性芸音科学ぷち研究その1」 (2015) p.1 *画像は表紙

という冒頭の一節から始まる4ページほどのお話。ムネオハウスについては定番の遠藤薫先生の過去の論文をベースに話を進めていらっしゃいました。またカタログのサークルカットにも「ムネオハウス」の記述が残っていました(右図参照)。

当方が記憶している限りムネオハウスが「同人」音楽として語られたケースは今まで無く、また遠藤先生の一連の著作の中でもムネオハウスは日本のウェブにおけるインターネットファッド、あるいは英語圏ではもっぱらInternet Meme(インターネットミーム、単にmeme/ミームとも)と称されるもの、の初期事例として紹介されており、所謂同人文化の文脈で取り上げられたものではありませんでした。

果たしてこのテーマへの導入部にムネオハウスを採用するのは有効だったのでしょうか。当方としては少々疑問が残りました。

備考

記事公開日: 2015年10月29日