安倍首相 ロシアの対独戦勝式典 欠席で調整

政府は23日、5月9日にロシアで開かれる対ドイツ戦勝70周年記念式典について、安倍晋三首相の出席を見送る最終調整に入った。首相は今月26日からの訪米で日米同盟強化を打ち出す方針で、ウクライナ情勢を巡って米露の関係が悪化する中、米側に配慮せざるを得ないとの判断に傾いた。
ロシア側は昨年、式典の招待状を首相に送った。首相は日露関係の進展に向けて出席を模索したが、米英首脳らが相次いで欠席の意向を固め、政府内で「首相が出席に踏み切れば、日米関係に悪影響を与えかねない」との懸念が強まった。
日露関係を巡っては、昨年11月の日露首脳会談でプーチン大統領が「今年の適切な時期」の訪日に向けて準備を進めることで一致。今年2月には日露の外務省次官級協議を開催したが、その後、ウクライナ情勢が緊迫化し、日露間の対話は停滞している。プーチン氏は今月、北方領土問題を含む平和条約交渉が「日本側のせいで事実上、止まっている」と批判した。日露交渉関係者によると、そうした状況を踏まえてこれ以上の関係悪化を避けるため、首相が式典を欠席する代わりに、年内のできるだけ早期に訪露する案も浮上している。【高山祐】
 ◇大統領来日など日露関係に影響
【モスクワ杉尾直哉】ロシアは安倍首相がモスクワでの対独戦勝記念式典への出席を他の西側諸国にならって見送ることをある程度予測していた。その一方で、年内にプーチン大統領の訪日が予定されていることもあり、日本の独自行動に期待をかけていた側面もある。首相の式典欠席はプーチン氏の訪日を含む今後の日露関係にも影響を与えそうだ。
岸田文雄外相が17日に「日露平和条約交渉を日本側が止めているという事実は全くない」と発言したのに対し、ロシア外務省は「岸田外相は(大統領訪日の準備として)訪露しなければならないのに、なぜか1年以上も決められない」と批判していた。安倍首相の式典欠席についてもロシアが「対米追随」として反発を強める可能性がある。
ロシアは今回の式典を国威発揚の場として重視しているが、10年前に当時の小泉純一郎首相やブッシュ米大統領らが参加した戦勝60周年式典と比べ、西側世界に冷たくあしらわれた姿を印象付けることになりそうだ。