日露次官級協議 12日にモスクワで開催

外務省は2日、ロシアとの外務次官級協議を12日にモスクワで開催すると発表した。北方領土問題を含む平和条約締結交渉や緊張が続くウクライナ情勢を主題に話し合い、昨年11月の日露首脳会談で合意したプーチン大統領の年内来日の実現に向け環境整備を図る。
次官級協議は昨年1月以来約1年ぶりで、杉山晋輔外務審議官とモルグロフ外務次官が出席する。
同年3月のロシアのクリミア併合を受け日本は米欧に歩調を合わせ、対露制裁に踏み切った。これにロシア側が反発し、4月に予定された岸田文雄外相の訪露と8月の次官級協議がいずれも延期を強いられ、日本が昨秋の実現を目指していたプーチン氏の来日も越年となった。
領土交渉再開の舞台となる次官級協議では、プーチン氏来日へのステップに位置づけられる岸田氏の訪露時期をどこまで煮詰められるかが大きな焦点となる。
ただウクライナ東部ではロシアの影響下にある親露派武装勢力が一歩も引かない構えで、和平の行方は依然不透明だ。日本が性急にロシアとの距離を縮めようとすれば、対露批判を強める米欧との連携が揺るぎかねず、日本の思惑通りに領土交渉を軌道に乗せるのは難しいとの見方がある。
露外務省は、岸田氏が1月下旬のベルギーでの講演でロシアのウクライナ併合になぞらえ「北方領土問題も力による現状変更」と述べたことに対し、いつになく強く反発している。日本側は「ロシアが次官級協議を見据え、日本を牽制(けんせい)する動きに出ている」(外務省幹部)とみている。<<