岸田外相 ポロシェンコ大統領と会談 / 山崎拓ら 22日から中国訪問

キエフ佐々木正明】旧ソ連諸国を歴訪中の岸田文雄外相は17日、ウクライナの首都キエフでポロシェンコ大統領、クリムキン外相と相次いで会談した。混乱が続く国内情勢の安定化のため、15億ドル(約1500億円)の経済支援を着実に履行することを約束。岸田外相はポロシェンコ氏との会談で「力を背景とした現状変更は容認できない。これは一地域の問題ではなく、国際社会全体の問題だ」と述べ、ウクライナを支える姿勢を明確にした。一方、ロシアは不快感を示すとみられ、今秋とされるプーチン大統領の訪日計画にも影響を及ぼしそうだ。
3月のクリミア併合以来、ウクライナの領土一体性を支持してきた日本がキエフに閣僚を派遣するのは初めて。さらに、欧米諸国が追加制裁を発表した直後での会談となった。
先進7カ国(G7)の一員として共同歩調をとってきた日本は欧米に比べ、対露制裁の規模が際だって小さく、6月にはプーチン大統領の側近、ナルイシキン下院議長の訪日を実現させるなど、露政権に配慮する「バランス外交」(露関係筋)に努めてきた。
安倍晋三首相が北方領土問題の解決に意欲を示し、プーチン氏との友好関係を構築してきたことが背景にあるが、今回の事態はロシアとの関係を損ないかねない。
岸田外相の訪問ルートは、ロシアの「裏庭」である中央アジアキルギスに続く「モスクワ飛ばし」(外交筋)。岸田氏は「国益にかなう日露関係全体を進めていく」として露側との対話を続けていくことを強調しているが、一部では「安倍政権の対露外交方針の潮目が変わった」との意見も出ている。菅義偉(すが・よしひで)官房長官は17日の記者会見で追加制裁に関して「G7と連携していくのが基本的な姿勢だ。(日本政府の対応は)そうした中で適切に対応していきたい」と述べた。
ロシアの日本専門家は、今回の岸田氏のキエフ訪問自体、プーチン政権の対日方針に大きな影響を与えるものではないが、「今後も、日本が欧米の対露制裁に追従することになれば、プーチン大統領の訪日計画自体に、政権内で大きな疑問符が付く」と話す。
露側は日本に対して「米国に連動せず独自外交を展開してほしい」(大統領側近)と切り崩しにかかっており、領土問題進展とウクライナ情勢のはざまで安倍政権は今後、高度な決断を迫られることになる。

自民党石原派最高顧問の山崎拓元副総裁は22日から24日の日程で中国を訪問する。坂本哲志衆院議員ら同派議員も同行。日中関係打開のため、中国共産党幹部との会談を要請している。(2014/07/17-16:32)<<