- ネットラジオ「季節の外でPro」ムネオハウス特集 第3回 (2002年3月22日)
11年前のこのインタビュー音源の文字起こしになります。
前書き
- 編集点、楽曲の挿入箇所に"--"で目印が入っています。
- 可読性を高めるため、句読点の付加、重複表現の省略、体言止めの修正等の変更が加えてあります。
- 脚注は2013年3月時点の情報に基いています。
- インタビューを受けた方のプライバシーに配慮し、音源の直接公開は当ページでは行いません。
- 「Sougou Shousha」-
モーリー (以下、モーリー):
「季節の外でPro 特集ムネオハウス号」を続けてお届けしております。今日はカリスマティックな一曲である「Shikaraba」、今までアップされた初期の曲の中でかなり上位の方で素人の人が聴いたときに印象が強く残る一曲ですけれども、それを始めとしたムネオハウスの曲をどんどん製作していらっしゃるShikarabaさんにお話しを聞いてみようと思います。
どうもこんばんは。Shikaraba:
こんばんは。どうも、宜しくお願いします。
モーリー:
急なお願いのインタビュー、ありがとうございました。
Shikaraba:
いえいえ・・・ あ、緊張しております・・・
モーリー:
あ、そうですか(笑) 大丈夫です。緊張して下さい(笑) 飲み物もありますので。お代わりして良いですから。えっとShikarabaさんはムネオハウス、最初に作曲しようと思い立ったきっかけは何でしたか?
Shikaraba:
実はこういうネタものが結構大好きで。ここでちょっと激白暴露しちゃいますけども、ちんこ音頭[1]とかその辺でもちょっと参加しておりました(笑)
*1 ・・・ 2002年1月、2ちゃんねる「お祭り板」発祥の祭。 参考: ちんこ音頭ポータル
モーリー:
(笑) なんか良く喋りますよね結構(笑) ちんこ音頭っていうのは・・・ あのこれ結構一般の方、例えば電波のラジオを聴くような意識のレベルの人も聴いてるので、そこの御解説からお願いします。
Shikaraba:
そうですね・・・ いやちんこ音頭についてはちょっと避けようかと思ってたんですけれども、これ聴く人達ってみなさん2ちゃんねらーが多いかと思うので一応ネタとして持ってきた部分なんですけども。
ちんこ音頭っていうのはそれの元の曲があるんですけども、ボイスだけ別にしたものがアップされてまして、それをネタにちょっと作曲をくっつけてリミックスしたりとかできるようになってるんですけれども・・・ 私がやったのはその2stepバージョンなんですよ。モーリー:
(笑)
Shikaraba:
まぁそういうことなんですけど。
モーリー:
そのお作りになった2stepバージョンの曲はネットで落として聞くことができるんですか?
Shikaraba:
ええ上がってると思います。どちらかでミラーされて。
モーリー:
(笑)
Shikaraba:
私自身は上げてすぐデリートされました(笑) 上げると大体アクセスがすごくなっちゃうので、直ぐに・・・ あ、思い出しました。ちんこ音頭だけはアップローダがあったので、そこにアップしたら確か補完されてまして。それはもう大丈夫だったんですけど。
モーリー:
これは例えばYahoo!のようなサーバとかBIGLOBEのような大手サーバが自動的に転送量を監視していて、急激なダウンロード件数があると自動的にデリートするっていうそういう仕組があるんですか?
Shikaraba:
いや多分管理者さんが・・・
モーリー:
人間が?
Shikaraba:
多分ですけれども。アクセスが集中してるところに多分数字か何か出てて、そこが一杯になるとそこが怪しいと見に行くと思うんですね。そこに違法性のあるファイルがあると多分消しに行くんじゃないかと思うんですけど。はい。
モーリー:
わかりました。であの、今日はムネオハウスが同様の雪崩を打ち始めているので、ムネオハウスのコンテンツについて集中的にお話しを聞いていくと思うんですけども。お作りになったShikarabaさん本人としてね、鈴木宗男議員や辻本(清美)さんのあの声、あるいはソースはNHKだったりとか色々あるんですけど、普通の建前だとしますと大人社会的に言うと、何十にも・・・ あの、なんていうの・・・、違反がありますよね、これ。
Shikaraba:
あ、そうですね。それ分かっててやってるので・・・
モーリー:
(笑)
Shikaraba:
あの、何と言いますか、サーバに上げるときもなるべく匿名にできるように偽名でサーバを借りたりとか。そういう事の連続ですね。
モーリー:
要するにIdentityをEncrypt(暗号化)されてるような。
Shikaraba:
そうです。そういうことですね。
モーリー:
(笑) 分かっていてやってる、ということでですね、あの、まぁこういう物に対しては、自主性が今回・・・ 例えばそのちんこ音頭は聴いてないのでこれから僕も勉強してちんこ聴こうとおもうんですけど(笑) ムネオは聴いたところですね、僕のラジオの世界の同業者の人達もそれを聴いてやっぱりすぐに飛びつくようなネタだったんですね。
それでなんというかラジオ的な直感で、特にFMで働いている人の直感としては、これはすごく面白くて、東スポか何かに出たらきっと一面に載って、2日以内に表から消されるだろうなっていうような、そういう直感がなんとなく働くんですよ。Shikaraba:
そうですね。私もそう思います。
モーリー:
それで、ある意味でこれそういうデリート覚悟で、短い期間に瞬発的に出すという、そういう意識で最初から作る感じですか?
Shikaraba:
そうですねぇ・・・ いやあ、でもそうかもしれないですね。なんか話題性に乗って参照数を稼ぐっていうのが目的なんですよ。私とか多分他の方もそうだと思うんですけども。それで多く聞かれて悦に入るみたいな、そういう部分ですよね。
- 「sondu miriu」-
モーリー:
例えば、じゃあ10年以上前の海賊電波みたいなものと比較して見たいんですけども、かなり構造とか背景、環境が違ってますよね。海賊電波っていうのは、例えば郵政省認可を持っていないのに、放送を例えば山手の中にいる人に流したりとか。あの原宿から山手線の中に向けて流した海賊ラジオの話とか昔聞いたんですけど。
で、そういうのって結局当局が取り締まったらそれで終わりじゃないですか。それに対して今回は、デリートがかかってもそれをmp3等の形で配給し続ける方法っていうのはあるんですよね?Shikaraba:
そうですね・・・ とにかく一度でもアップすればそれを聞いてくれた人が大体ミラーしてくれたりとかMXで共有してくれたりとかっていう。それにもうほとんど自分なんかは頼ってまして。サーバーの知識とか私は逆に低いので、そういう方達に本当におなが・・・ お願いっていう感じですね。
モーリー:
見えない人とコラボレーションをしてる感じ?
Shikaraba:
あぁそれは・・・ そういう意識は強いですね。ハイ。
モーリー:
ちょっと結社的な匂いが(笑) フリーメーソンな雰囲気というか(笑)
Shikaraba:
いや全然そんなことないですね、ハイ。
モーリー:
あのね、Shoutcastにもムネオハウスのチャンネルが今追加されていまして。
Shikaraba:
あぁ、ハイ。
モーリー:
さっき確認したらあったんですけど。Shoutcastっていうのはmp3ファイルをどうするんでしたっけ? ご存知でしたか?
Shikaraba:
えーっと多分あのmp3のストリーミングの方式で、m3uだったかな、そういう拡張子を持ったものがそういう扱いを可能にしてるんだったと思いますけども。
モーリー:
Shoucastのサーバーの大きいものはアメリカやヨーロッパにいくつもありますよね。そうすると今からそういう人達がそういう国々に拡散した場合、さしあたって当該議員の政党あるいはNHK、JASRACなどが追いかけてきたところで、サイバースペースにもう既に拡散してしまっている状態だと言えますか?
Shikaraba:
そうですね・・・ そうですけれども、2ちゃんねるの今情報がまだ外側にほとんど出ていないので、それをどういう風に共有していくかっていう事だと思うんですけども。まだその一般性からしてまだ、あの・・・ まぁお遊び程度だと思うんですよね。
ただ、もっと広めて遊びたいっていう反面、サーバーで共有してくださってる方の事を考えると。参照数が思いっきり増えてしまうと圧迫がかかっちゃうんですよね。そのことが心配で、まだちょっと情報をあんまり広めていいものか、それとも今の現状で楽しんでいった方がいいか、っていうところのちょっと今瀬戸際のところにあると思います。モーリー:
そうすると、これを例えば従来のサーバで参照するという。公式というかな、表だった方法以外の、例えばピアツーピアみたいなテクノロジーを使って。なんて言うんでしょうね、Encryptするような。そういう方法論を考えたり名乗り出たりする人はいますか?
Shikaraba:
あー、ちょっとあんまりわからないですね。私の知識だと。
モーリー:
そうすると今のところ、Shikarabaさんの意識としてはとにかく曲をドンドンと作っていく。そしてその曲をアップして、後は世の中に任せるという、そんな感じですか。
Shikaraba:
そうですね。違法性を楽しんでいるところが多分にあるので
モーリー:
(笑)
Shikaraba:
それだけですね。もう違法じゃ無くなったり合法化された時点で私は興味失うと思いますので、その辺は結構重要なんじゃないかと思います。
- 「Shikaraba」-
モーリー:
あの、先週までは、鈴木宗男議員が非常にその時の人で、ムネオハウスというのがシャレから出てきたんですけども、一転週刊新潮がムネオさんを糾弾していた側の辻元清美議員をなんか疑惑を取り上げるような、完売を狙っているような雑誌の出し方をしてますよね、今(笑)
そうすると、今度はそれから飛び火して、キヨミさん等を素材になったMixも出てくる可能性はあるんですか?Shikaraba:
私が作った2曲目の「Sougou Shousya」という曲ですね。それは一応それを扱ってて・・・ あ、キヨミさんのMixっていう意味では扱ってないですけど。まだその今・・・
モーリー:
今の疑惑や社民党の土井たか子さんが釈明というか、疑惑を強く否定している部分あるじゃないですか。そういったサンプルもこれから取り入れて新たな作品というのは考えられますか?
Shikaraba:
そうですね・・・ その答弁次第ですね。それがいかに面白くコラージュできるかできないか、っていうところが扱うかどうかの線なので。ネタとして面白く無かったら、例えばですけども加藤(紘一)さんが離党した時にも一応ネタはあったわけですけども、ネタとしての面白さっていうのは無いわけなんですよね。
でも、ムネオさんがなぜこんなにネタとして扱えるかっていうと、彼が面白いっていう、そこの一点なんですよね。だから彼が憎いとか憎くないっていうのは全然関係なくて、その一点に集中されてるというだけですね。モーリー:
あの、これは例えばビジュアル面もあるんでしょうか。声以外に。
Shikaraba:
多分にあると思います、ハイ(笑)。
モーリー:
(笑) あの、彼をその例えばVJの観点で、鈴木議員をあのなんというかトリーメントっていうか加工処理するときに、ビジュアルアーティストというのはどういうところに刺激をそそられるんでしょうか?
Shikaraba:
そうですね・・・ これ多分私とかそれ以外のクリエイター以外の、雑誌社とか新聞社とかも、ほとんど面白おかしく扱おうとする人、皆さんと同じ意識じゃないかと。だから、それが真実かどうかっていうのも一切こちらでは分からない、判断できないところなので。そのネタがいかに面白いかどうかっていうことで。変な顔かどうかっていう部分とか、いかに真剣に怒ってるるかどうかっていう部分は一番おもしろく映る部分だと思うんですよ。
あと例えば、いかに辻本さんみたいに追求しまくってあんな事言ってたのにこうなったみたいな。多分ヤラセだと思うんですよ。モーリー:
どの点がヤラセだと思われます?
Shikaraba:
私がヤラセだと思ったのは「次あなたがこうなったらどうするの?」っていうの多分ぶつけてきただけだと思うんですよ。だから彼女自身が本当に疑惑を持ってるかどうかこちらは分からないですけれども、多分やらせの匂いがプンプンするなっていう、それだけだと思います。
- 「muneo-go」-
モーリー:
続いてShikarabaさんの音楽制作の作業環境について伺ってみたいと思います。SOHOのような環境で作曲されているんですか?
Shikaraba:
そうですね。仕事ではSOHOみたいな感じにもしてるんですけど、コンピュータの中だけで作ってます。Cubase[2]というソフト使ってまして。マッキントッシュなんですけど。それでネタを取り込んで、それでとりあえず曲を作って、それにネタを切り貼りという感じで作っております。
*2 ・・・ 独Steinberg社製の音楽制作ソフト。このインタビュー時点での最新版はCubaseVST/32 5.1。参考: Wikipedia - Cubase
モーリー:
素材は例えばテレビの中継から一回DATかMDに録られるんですか? それともコンピュータにそのまま生を録音してるとか。
Shikaraba:
ネットの放送局、ネットラジオでは無いんですけど、RealVideoのビデオを置いてあるところに、衆議院とかのサイトにもあるんですけど、そういうところのネタをちょっと拝借して、それをそのままAIFFに変換して。
モーリー:
あ、そういうことは、リアルストリームをMDかなんかに録音するんですか。それともリアルメディアを直接上手いこと落とすんですか。
Shikaraba:
上手く落とす裏ワザがあるんですけれども。
モーリー:
ハッハッハ 知らなかった(笑) なんか僕のリアルメディアもあっちこっちに既にアレしてるんですよ。だから分かってる人がやってくれてるんで。僕は嬉しんですけど。でも例えばリアルメディアを落としたときに一度圧縮かかってますよね。これを一回膨らますんですか? AIFFに。
Shikaraba:
一曲目の「Shikaraba」のときにはそれを膨らまさずにやったらちょっとなんか誰の声か分かんなくって失敗だったなって思う部分が一箇所あるんですけれども。一番最新の曲の「Stranger」のときにちょっと膨らましてみたんですよ。ノーマライズかけたら丁度ビットは低くても、膨らました事によってちゃんとビットが膨らむので。同じ音量にしたときに丁度良い感じになったので、皆さんもこれからもし作るときは一度ノーマライズをかけたネタで並べて切り貼りした方が良いと思います。
モーリー:
あの、ノーマライズっていうのスゴイ細かいことを、僕も音楽やってるんで聞きたいんですけど。mp3なんかに書き出されるときにね、えっと、100%ノーマライズで書きだしてますか? それとも少し絞った方がいいでしょうかね。
Shikaraba:
そうですね… すごく尊重したいネタっていいますか、そういうときにはもう絶対ノーマライズはかけないことにしてるんですね、私自身は。ただまぁこういう「流れで作っちゃえ」なもの、どうでも良いものとは言いませんけど、作品として即効性を感じているものについては、ノーマライズが非常に可能かなと思うんですけど。もしあの厳密にやりたいとしたら、私の場合はゲインを上げるようにしてるんですね。
モーリー:
ふーん。
Shikaraba:
それで音処理を完璧に追い込むという感じですね。
モーリー:
Cubaseだと中にダイナミクスのコンプとかリミッターその他入ってますよね。あとなんか変なEQみたいなの。あれなんかも多用されてるんですか?
Shikaraba:
多用してます。
モーリー:
一回コンプかけると元に戻らないでしょ?
Shikaraba:
そうですね。元ネタを取っておく感じですねその場合は。試したいっていうとき。
モーリー:
じゃあ要するに非破壊編集の鬼なんだ(笑) Non-Distructive・・・風味?(笑)
Shikaraba:
そうですね・・・ なんといいますか、ネタが元に戻る/戻らないっていうのはエフェクタのスイッチをON/OFFでできるので、ええ。よっぽど変えちゃった後に戸惑わないために元ネタを取っておくっていうだけの話なんですけれども。
モーリー:
で、元のその取り込みなんですけど。そういう中継のリアルメディアなんかをゲットしたときにね、何を基準にどの部分を摘んで引っ張りだしていますか?
Shikaraba:
それはどういう意味で?
モーリー:
例えば答弁がガーっと流れてるのをまずファイルで落とされますよね。で、そのShikarabaさんはそこからワンショットのサンプルなんかを抜いておられると思うんですけども。ずーっと聞いて決めるんですか? 「これかな?」っていう風に。
Shikaraba:
そうですね、何度も何度も聞いて・・・
モーリー:
うわぁ大変だ(笑) ドキュメンタリーみたい(笑)
Shikaraba:
面白いと思ったところを摘むんですけど。で、直感性とか結構重要なので、サラっと聴いたときに覚えてるネタっていうのは頭のなかにメモっておいて、それを何度も聞いて。やっぱり笑えるかなっていうのを全部摘んで、それで編集かけてますね
モーリー:
それでその、元ネタをまずちょっと多い目に抽出されると思うんですけど、今度はそれを組み合わせる段階? いわゆる作曲段階ですよね、どういう手順でやってらしゃいますか? それに非常に僕興味があるんですけど。
Shikaraba:
本当はシカラバなりの企業秘密なんですけど、曲をまず完璧に作っちゃいます。
モーリー:
バックトラックを。
Shikaraba:
バックトラックですね。声を、声ネタを載せるっていうことを考えて100%までは持ってかなくても80%ぐらいの雰囲気で作って。後で声ネタを入れたときに100・・まぁ120%ぐらいにいけるように、そういうテンションで作っています。
モーリー:
ふーん。
Shikaraba:
それでネタの話・・・ そうですね ネタはどういう風にするかって言いますと、まず完璧に曲を作った後に、ネタをリズムに合わせて切ったり貼ったりして、まぁ昔のラップミュージックみたいな作り方なんですけど。
モーリー:
たとえばReCycle[3]なんかも使うんですか?
*3 ・・・ スウェーデンPropellerhead Software製のループ作成ソフト。参考: Wikipedia - ReCycle!
Shikaraba:
ReCycleは面倒くさいので。
モーリー:
面倒くさいですよね(笑)
Shikaraba:
ええ。使わないです。
モーリー:
(笑) 自分の目と手でって感じ?
Shikaraba:
そうですね。Cubaseの場合ですとオーディオトラックも全部普通のMIDIのトラックと同じように切り貼りできるので、なるべく細かくいじれるように1/16ぐらいまでに細かく出来るようにしておいて、それで切ったり貼ったりして。で、タイミングがどうしてもちょっと後ろにズレたり前にズレたりしてるものがあるんで、それは一回オーディオファイルを開けて、前にチョチョチョっとずらたりとかっていうのを細かくやってます。
モーリー:
結構手わざと自分の耳を頼りに。職人芸っていうか。あの、Cubaseのマニュアルを開けるとね、なんだっけねM-PointとかQ-Pointとかっていうの、あんなの使ってますか?
Shikaraba:
そういうのあったの覚えてるんですが、使ってないです。
モーリー:
(笑) やっぱり。あれすごい良い機能だと思うんだけど、本読んでるとすげぇなぁって、デモとかスゴイと思うんだけども、あれ本当に使えてる人何人いるんだ? ってよく思っちゃう(笑)
Shikaraba:
多分8割以上使ってないと思います、機能の。
モーリー:
それでまず曲のレイアウトを全体にされている雰囲気を今伺ったんでんすけど、それに対してやっぱ仕上げっていうかポストプロダクションの部分で、いろんなプラグインを使ったりされるんですか?
Shikaraba:
そうですね。マッキントッシュ、私使ってるのG3なので、G4になるとまだ結構いろんなことできるんだと思うんですけれども、ある程度やると結構・・・
モーリー:
死にますよね?
Shikaraba:
そうなんですよ。赤ランプがついちゃって音切れが結構発生が厳しくなるので、そういうときには最初にエフェクタかけて聴くんですけど、切りながら重ねていったりとか。結構そういう騙し騙し作ったりしてます。
モーリー:
素晴らしい職人芸でいらしゃいますね(笑) あのG3にこだわっている理由は? だいたい今Cubase使ってる人ってもうG4以外いけないとまで言われてるんじゃないかぁ。
Shikaraba:
そうですね・・・ まぁ「買えない」っていうの一つと、あとは最近ノートパソコンでPowerbookの方もG3にしたんですけども、これ買った時点でちょっとG4諦めざるを得なかったっていうのも。ハイ。
モーリー:
あぁ。
Shikaraba:
で、両方で作って共有したりとかして。それで作ってますんで。
モーリー:
なるほど。それでとにかくそれを最終的に色々と自分のワザをかけてですね、Anonymous(匿名)でアップしちゃう。で、反響が返ってくるというかな、その時点で一回自分の中で完結しますか? それともその後反響が返ってくるとまた次やろうっていう風になっていきますか?
Shikaraba:
そうですね、「Shikaraba」アップした時点で一回終わったんですけれども、その後また続々と他のアーティストの方が上げてくれたので、それがもう楽しくて、また次作を作っていって。自分でもこう「Shikaraba」っていう風に書込みのネームを書くんですけど、それだけで書き込んでると絶対ウザくなる人が出てくると思うんですよ。だから匿名さんで書いたり、煽ったりとかいうこともちょっとだけしてます。
--
モーリー:
あの、ネットは意識がお互いに共鳴しあっている、もしかしたら非合法趣味の人達が共鳴しやすい、コラボレートしやすい空間ですよね。あの、Shikarabaさんご自分が作った曲をね、他人といろんな形でコラボレーションに持って行きたいなんて考えてらっしゃいますか?
Shikaraba:
そうですね・・・ 実際共有して作れたら面白いかな、とは思ってるんですけど。
モーリー:
例えばそれはオーディオとビジュアルでも良いんですけど。
Shikaraba:
あ、そういうのはアリですね。十分に。それをネタになんか作ってくれる人がいたら嬉しいです。
モーリー:
今のところ実現性が高いのは、多分Quicktimeのビデオ描き出すのよりもFlashかな。Flash一番お手頃ですよね。僕あんまり良く知らないんんですけど、VJのソフトっていうのは例えば「Shikaraba」っていう曲を読み込んで、ダダダダーッとリアルタイムで描き出したりできるんですか?
Shikaraba:
VJソフトでもできますよね。VJソフトだとQuicktime・・・ 私マッキントッシュ専門なんで、Quicktimeをいっぱい取り込んで、それをスイッチングしたりとかっていう方法で描き出したりとかはできるんですけど。でも厳密にやるんだとしたらPremiere[4]とかそういう・・・
*4 ・・・ 米Adobe Systems製の映像編集ソフト。参考: Wikipedia - Adobe Premiere
モーリー:
Final Cut Pro[5]とか。
*5 ・・・ Apple社製のMacOS用映像編集ソフト。参考: Wikipedia - Final Cut Pro
Shikaraba:
そうですね。その辺のソフトちゃんと使ってやった方が良いんじゃないかなって思うんですよ。
モーリー:
うちもFinal Cut Pro使ってますよ。ただレンダリングが問題なんだけどね。NT機があるんですよ。NT機を仕事で使うんですけど、それがきっかけでWindowsに手を触れるようになったんですよ。なかなか良いもんですよWindowsは(笑)
Shikaraba:
Windowsも私持ってるんですけども、どうもやっぱりインターフェースが慣れないんで、2:8ぐらいの割合でしか使ってないですね。
も;あと、さっきちょっと出かかった質問なんですけど、例えばCubaseのセッションありますよね、いわゆるマルチトラックのファイルとCubaseのセッションを一つのフォルダにして100Mぐらいで誰かと共有しあって、Rocket Network[6]みたいな、あんな雰囲気でこれ展開したいと思ったことあります?
*6 ・・・ 音楽制作ソフトから直接音源ファイルをオンラインで共有できるサービス。日本では「ASTRO SESSION」の名称でImpressの子会社であるリットー・ミュージックが2001年12月サービス開始、2003年3月サービス終了。参考: 藤本健のDigital Audio Laboratory - 第59回:オンラインセッションを実現するネットワークサービス〜Rocket Network〜
Shikaraba:
RocketのデモみたいなDMが入ってたんで、ちょっと試したいなとは思ってたんですけど、それがもし自分の中で反応が良ければ、今後ちょっと取り入れる感じで考えてみますね。
モーリー:
お聞きの皆様にご説明しますと、CubaseというShikarabaさんも僕も共に使っている音楽作成ソフトがあるんですけど、これは様するに色んな音をハードディスクに録音していって多重録音をかけるソフトですね。
で、特殊なファイルの形式、方式で様々な多重録音のトラックを管理していくんですけれども、これを丸ごと人と共有する仕組みが関連会社から出ていて、それがRocket Networkと言われております。日本では確かImpressだったかな・・・ Impressでしたよね、がバックアップしてやってるけど。
ただあれRocketの仕組みはビジネスモデルにちょっと一個問題があって。大容量転送すると比例でお金がかかるんですよ。
だから100GBなんていった日には月に30万払うことになるとか恐ろしい課金が来るんで、ちょっと今のRocketには手を出さない方がいいよね。こういう熱いネタは。Shikaraba:
そうですね・・・いまのでちょっと興味を失いました・・・
モーリー:
ハッハッハ やめろって言ってるんじゃなくって(笑) P2Pとか使ってね、Rocketと同じような事を例えばCubaseの人達同士か、ADSLだったらできるんじゃないかなとか。
Shikaraba:
そうですね。そういうアイディアだけ拝借するってのはアリですね。
モーリー:
ACID[7]のファイルだったらもっと楽ですよね。ACIDっていうのは圧縮かけまくって結構ザラザラで汚いファイルと綺麗なファイルを並行して管理してくれるので、さっき冒頭に出た再圧縮とかそういう問題を一切、「汚くてイイ」って割り切っているのがACIDなんで、もしACIDを使われた場合は今のようなアレはかなり楽になりますよ。
*7 ・・・ 米Sonic Foundry製ループシーケンサー。参考: Wikipedia - ACID (DTMソフト)
Shikaraba:
あぁ、そうだと思いますよ、私も。
モーリー:
はい。続いて、今作ってる曲は主にスレッドを立てた人達の間で沸騰してるんですけど、どういうタイミングで、外の世界の一般の人達に聞いてもらえたら良いと思っていますか?
Shikaraba:
そうですね・・・こちらから働きかけてそれでなんか流行るよりも、向こうから気づいてもらってそれで自然に流行っていくのが良いかなと思います。それはもうあのサーバ心配してるっていうのは、知らせた人が「サーバ圧迫をどうするつもりだ」と叩かれるという現象があったんですけれども、それだけが心配なので。
で、気付かれちゃった場合はもうそれはもうしょうがないんじゃいかっていう、そういう割り切りもできますので。モーリー:
あの、私素人っぽい質問で恐縮なんですが、MacのOS X Serverっていうのを立てると、自宅にもし8MのADSLがあった場合ね、自分の家がサーバになることができるんじゃなかったでしたっけ? そういうシステムを使う人とか出てこないんでしょうか。つまり自分の家からやっちゃう。100GBだろうがなんだろうが。
Shikaraba:
そうですね・・・自宅サーバが作れれば良いのかもしれないですね。私もちょっとその辺あんまり疎くて分からないです。
モーリー:
ねぇ、聞いてみたいところですよね。これだけP2PでGnutellaだMorpheusだって大騒ぎしてるのに、それぐらい出てきても良いような気はするんですけども。
Shikaraba:
ただ、アクセスが100GBとか
モーリー:
一日にね、
Shikaraba:
はい。聴いたことも無いようなそういう転送量を聴くと。
モーリー:
まるで・・・ あのAkamaiって知ってます[8]? あの、CNNとかのリアルメディアのコンテンツを全部Akamaiのサーバに一回飛ばされて、そこから送られてくるらしいんですよ。Appleも。AppleのページもQuicktimeのショーケースとかあるでしょ。あそこで押すとショーケースでPerfectな何か流れてくるじゃないですか。あれ全部Akamaiのサーバに呼びに行ってるらしいんですね。
で、そういう大100GBとかテラバイトを扱えるのはAkamaiってアメリカの会社にあるから、これって個人がAkamaiをやらなきゃいけないって事ですよ。*8 ・・・ 米Akamai Technologies。世界最大のCDN事業者。参考: Wikipedia - アカマイ・テクノロジーズ
Shikaraba:
そうですね。ええ。そういうのあると良いですね。
モーリー:
あのね、OS X Serverはお安くて手頃ですよ(笑)
Shikaraba:
あ、そうですね(笑)
モーリー:
古いG4でもできますし、OS XのServerはすごく安くて、ストリーム数は結構、うん、タダ。
Shikaraba:
あ、そうですね。それは取り入れたいですね是非。
モーリー:
皆さん、OS Xオススメです。それで、これ最後の方の質問になるんですけど・・・ 今お店に人入って来ちゃったからど忘れしちゃったハッハッハ ごめん(笑) 何聞きたかったんだっけ・・・
そうだイベントがありますよね4/7に。そこにもお出になりますか?Shikaraba:
ええ、一応出させて頂く方向に有るみたいです。ハイ。
モーリー:
その時までに、今から2週間ぐらいですかね、今から2週間の間にね、今既にこうなっているじゃないですか。どうなっていると思いますか?
Shikaraba:
そうですね。個人的にはもっと盛り上がっていて欲しいというのが正直なところです。
モーリー:
その盛り上がりは今のスレッドの同心円上の盛り上がりですか? それとも例えばマスコミ、FMラジオがそれを流しちゃうとか、そうすると一気に広がると思うんですけど、そういう事件があっても良いですか?
Shikaraba:
どうなんでしょうねぇ。ちょっと微妙ですね。このままだと多分・・・ どうなんでしょう平行線を辿るか、それとも、もっと参入者がどこかで聞きつけて来るんだったらもっと盛り上がれると思うんですけど。
当日までにもう少し何か爆発度が必要なのかもしれないですね。モーリー:
今のところムネオハウスのシーンといえるのは、まぁシーンのような状態になっているんですが、ムネオハウスシーンというのは僕の印象だと、コンテンツが牽引している。つまりShikarabaさんのような方の曲次第で、クオリティが上がってるんですよ。本当にDJ頼みなんですね。オーガナイザーやその他のサポートの人達や会社が勿論参入できるもんじゃないですから。仕掛けや仕組みっていうもの? パブリシティについてのそういうものが全然感じられないのね。みんなすごくナイーブで。で、曲だけはどんどん鋭くなっていってる(笑)
Shikaraba:
そうですね。私もそう思います。ネタ自体が多分かなり重要なポイントだったりするので。ムネオネタだけだと多分もうそろそろ、ムネオさん自身もちょっとしぼみかけているので、もっといろんなところから持ってこないといけないので。一つの提唱として私が書き込んだ事は、政治ネタ一般を扱うことがもうムネオハウスっていう事にしたらどうだっていうことを書いたんですけど。
んー・・・ みなさんどうでしょうか、って感じなんですけれども。モーリー:
あの・・・ 多分それについての明確な答えを視覚化っていうかビジュアライズできるのはもしかしたらクリエーターだけかもしれないなって僕思ってるんです。
つまり、ムネオハウスっていうのは「あったらどう?」っていうのはスレッドでみんな「そんなの面白くないよ」って誰かが言ったら、文字だけだったらそうじゃないですか。ところが曲があって「すごい!」ってことになった事で雪崩を打ったわけでしょ?
だからこれってちょっと、プレッシャーをかける言い方になるかもしれないけど、例えばShikarabaさんのようなちょっと分かってるクリエーターの方がどんどんと先を行って、清美さんなら清美さん、(田中)真紀子さんなら真紀子さん、久米宏さんなら久米宏さんという風に、ガンガンネタを出して行くしかないんじゃない、これって。
話し合いで次の方向性出てこないと思うよこのグループは。Shikaraba:
あぁ。そうなのかもしれないですね。私もやっぱり先にやった人がどれだけ面白いと思えるものが出せるかどうかだと思います。ええ。
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備考
記事投稿日: 2013年3月31日
音源を提供して頂いた皆様に深く感謝致します。