馳浩 プロレス引退。きっかけはモチ。

政治家とプロレスラーの二足のわらじを履く自民党馳浩衆院議員(43)=比例・北陸信越=が、プロレス引退に追い込まれた。前歯を入れ歯からインプラント(人工歯根)に替える治療を受けるためで、正月のモチにKOされたことがきっかけだったという。ただ、引退宣言は行わない方針で、馳氏は「リングを国会の場に替えて戦う」と、“生涯レスラー”宣言をブチあげた。
【引退のススメ】
「1年をかけて、今の入れ歯をやめたい。もうプロレスで身を立てる年じゃないから」
実は先月22日、馳氏は地元・石川県金沢市で開いた国政報告会で、プロレス引退宣言を行った。同席した森喜朗元首相も「政治の本道を行ってほしい」と要望した。
馳氏は政界で「まじめで誠実な人柄」(自民党職員)として知られ、評判もいい。「政治一本で行けば、政治家としてさらなる飛躍が期待できる」(閣僚経験者)との声も上がるほど。
馳氏が所属する森派会長の森氏は、以前から政治に専念するようにアドバイスしていたが、「プロレスが大好きだったとうのが第一だが、政治資金を集めるためにも、プロレスを続けざるを得なかったようです」(地元関係者)との事情もあったようだ。
【硬いモチ】
関係者によると、引退を決意したきっかけは正月に硬いモチを食べたことだった。この際、歯が折れ、馳氏は歯科医院へ。
上あごの前歯5本が入れ歯の馳氏は、以前から話しづらいことが悩みの種だった。歯科医に相談した結果、インプラントに切り替えることを決意したという。
インプラントは、あごの骨に直接ネジを埋め込んで歯根代わりにする治療法。治療期間は1年半で、費用総額は200万円也。
リング上でラリアットなどの強烈な衝撃を受けると、インプラントは折れずに、ネジ部分から骨が裂け、顔面骨折の恐れがあるため、「プロレスは危険極まりない」(歯科医)。
馳氏も「試合に出ることは厳しい」と漏らしており、従来通りの激しい試合を行うことは不可能なのだ。
馳氏は今月5日、日本武道館で試合を行ったが、この戦いが事実上の引退試合だった。
試合は3対3のタッグマッチで、馳氏は得意のジャイアントスイングを披露し、快勝。「お客さんの喜んでくださる姿が何よりの満足だ」と話していた。
【生涯現役】
そんな馳氏は「リングを国会に替えて頑張る」と意気込む。
8日の衆院予算委員会でも質問に立った馳氏は「売られたケンカは買う」と宣言し、民主党城島正光氏の迂回(うかい)献金疑惑を追及。旧橋本派への1億円ヤミ献金事件などを追及する民主党への反撃だった。
レスラーとしての闘争本能は国政の場でも健在で、「私は死ぬまでプロレスラー。引退宣言はしない。マウスピースをすれば、試合はできるかもしれない」と話すなど、プロレスへの情熱は断ち難いようだ。<<